BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 【GL・百合】二次創作短編集(最終更新12月6日) ( No.24 )
- 日時: 2013/12/18 18:44
- 名前: あるま ◆p4Tyoe2BOE (ID: Ba9T.ag9)
『のんのんびより』蛍×小鞠 1/2
___解説___
2013年10月よりアニメ化。
あっとによる漫画が原作。
田舎を舞台にした、日常系ほのぼのアニメ。
今回の主人公である蛍だけは東京出身。
「先輩」と呼ばれる小鞠(こまり)は自分が子供っぽいのを気にしている。
***
12月24日の夜、わたしたちは小鞠先輩の家へお泊まりに行った。
越谷姉妹に、れんちゃん、わたしの四人で、ごちそうを食べたりゲームで遊んだりした。
みんなでお風呂に入った後、れんちゃんだけを別の部屋で寝かしつけて、わたしとナツミちゃんは先輩の部屋に集まった。
「いい? クリスマスイブっていうのは、良い子がサンタさんからプレゼントをもらう日なんだよ」
作戦会議みたいに三人で円を作って、先輩がわたしとナツミちゃんに言う。
「ウチらの中でサンタさんを信じてるのは、今はれんげだけ。お姉さんであるウチらは、れんげの夢を壊さないように、れんげが寝たらこっそりプレゼントを置いてきてやるんだ」
先輩がベッドの下からプレゼントの包みを出した。
今日のパーティが日帰りではなくお泊まりなのは、こういう理由からだった。
ちなみにわたしが引っ越して来る前の、去年のクリスマスにも同じ作戦を実行しようとしたが、みんな早々に寝てしまって気づいたら朝になっていたという。
「夜中にこっそりれんげの枕元に置くんだけど、あまり早い時間だと起きちゃうかもしれないから、夜中の2時に決行ね」
「まだ五時間もあるぞ。姉ちゃん、起きてられるのか」
ナツミちゃんが言う。
「起きてるよそれぐらい」
「まあその時はウチが届けてあげるから姉ちゃんは寝てても大丈夫だよ」
「ウチだって今夜だけは起きてるもん! ウチがいちばんお姉ちゃんだから、プレゼント届けるのは絶対にウチなの!」
そうなのだった。
先輩は前々からサンタ役は絶対に自分だと言って聞かなかった。
なので。
「先輩、わたし、この日のために衣装を作ってきたんです」
タイミングを見計らって発言した。
「衣装?」
「ちょっと待ってくださいね……」
ゴソゴソと、やたら膨らんだバッグから取り出したのは。
「見てください! サンタの衣装です」
わたしが先輩のために作ってきた、140センチサイズの、サンタの衣装。
「蛍……それ、どこで借りてきたの?」
驚くこともなく、先輩が疑問を口にした。
「借りたんじゃないんです。作ってきたんですよ」
「は? そんな立派な衣装を?」
先輩とナツミちゃんはなぜか目を点にしている。
わたしはやや興奮気味に喋った。
「今日のことを聞かされてから、わたし、毎晩のように夢で見たんです。先輩がサンタさんの衣装を着ているのを。それが可愛くて可愛くて……どうにかその夢を実現させたいと思ったんです。当日までに間に合うか不安だったんですけれど、うまくできたと思います」
さあ着てくださいと言わんばかりに、わたしは衣装を先輩に差し出すが。
「えー、サンタさんの衣装なんて、なんだか子供っぽくて恥ずかしいよ」
先輩が乗り気でないような顔をして、身をひいた。
「どうせれんげも寝ててサンタさんの姿なんか見れないんだし、姉ちゃん、普段着でもいいんじゃないの」
ナツミちゃんまでそんなことを言う。
「ま、待ってくださいよ! この衣装の方が絶対いいです。絶対、可愛いですって!」
「“可愛い”っていうのが、子供っぽいんだよ」
「すみません、嘘です。可愛くないです。いや、可愛いっていうより、オシャレです。都会的です。東京とか、そっちの方面っぽいです」
「ほんと?」
先輩の問いに、わたしはブンブン頭を縦に振る。
よかった。せっかく作ってきた衣装、受け入れてもらえた。
サンタの衣装を着た先輩は、プレゼントをくれるひとっていうより、そんな先輩自体がプレゼントみたいなものだった。
(つづく)