BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 【GL・百合】二次創作短編集0809UP ( No.69 )
- 日時: 2014/08/10 22:28
- 名前: あるま ◆p4Tyoe2BOE (ID: Ba9T.ag9)
『生徒会役員共』アリア×シノ 1/3
___【解説】___
氏家ト全による漫画が原作。
2010年と14年の二度アニメ化。
「けOおん」の仲良し二人と同じ声のキャラが下ネタを連発する作品。
言わせるのに勇気が要るセリフをどんどん出してくる姿勢は称賛せずにはいられませんでした。
***
「桜才学園、生徒会会則。第33項……」
腕を組んで直立する生徒会長——天草シノの左右には。
ピッピと笛を鳴らす生徒会会計、萩村スズと。
普段どこにしまってあるんだっていう、雷様が打つような太鼓を鳴らす生徒会書記、四条アリア。
「……“*”の読みは『アステリスク』だ! 『アOル』と読むな!」
昼休みは生徒会が仕事をする時間である。
早速、この日の議題をシノが言い出した。
「うちの学校が恋愛禁止なのは、分かっているな」
津田、スズ、アリアの顔を順々に見て、
「しかし、昼休みや放課後など、男女二人が仲良く一緒なのを見かける。それから、帰りの駅の改札前で抱き合っているうちの生徒を見たという目撃情報もある」
シノは、現状を嘆くような顔色で視線を落とす。
「今時、校則で恋愛禁止というのはちょっと行き過ぎな気もするが、我々は生徒会役員だ。心を鬼にして、問題に取り組まねばならないだろう」
厳しいルールの押し付けは、生徒からの反感も買いかねない。
だから、生徒会役員は時には嫌われ役にもなるということか。
「大変ですね……」
津田が相づちのように言った。
「ああ、大変さ」
シノは急に活き活きした顔になって、
「このままだと、夕暮れ時で誰も居ないはずの教室とか、体育倉庫の扉を開ける時にもわざわざノックしてから入らないといけなくなるからな」
「そういう大変さのこと言ってんじゃないよ」
ずっと黙って聞いていたスズも、やっと口を開いて、
「どんどん取り締まるべきだと思います」
冷たく言う。続いてアリアはおっとりと、
「男女恋愛がダメなら、同性愛に走ればいいじゃない」
女子三人の意見はまとまったようだ。
「うむ。では、昼休みの残りを使って、学校内での男女恋愛を取り締まるぞ」
「でも、してるのをやめさせるって、難しそうですよね」
「ああ。途中で邪魔が入ると、すっごくイライラするものだからな」
「ちょっと違う気がするんですけど」
そう言う津田を無視し、シノはアリアやスズの方へも目を向けて、
「聞くまでもないが、この中で異性と交際している者は居るか?」
「いませーん」
「ちゃんと膜ついてるよ♪」
「うむ、よろしい。津田、お前も大丈夫だよな?」
「え、ええ……。女子と交際なんて、全然ないです。そんなの」
「……そっか。ならよかったぞ」
四人は、畑ランコに会うため、新聞部の部室へ向かった。
彼女なら何か情報を知っていると思ったのだ。
「ランコ、何か情報はないか?」
新聞部の部室まで来て、シノはこれまでの事情を話した。
部長の畑ランコは相変わらずで、お昼の料理番組の説明よりずっと低いトーンで言う。
「はい。実はC組の近藤君と、D組の穴吹さんが付き合っているみたいです」
「証拠はあるのか?」
「もちろんです」
ランコは、その二人が駅の改札前で抱き合っている写真——つまり盗撮写真をシノに見せた。
「ふむ。確かにこれだけ身体を密着させて抱き合っているとは、並の関係ではないな。というか、うちの生徒が改札前で抱き合うのを見たという目撃談は、お前が広めたものだったのだな」
「その通りです。更に、この二人がそれ以上の関係だという証拠もあります」
ランコがすっと、名刺でも差し出すようにして見せた一枚の写真は——。
女子高生のスカートの中を、真下から撮ったものだった。
「うーむ……花柄か」
「それは穴吹さんが、朝に穿いていたショーツです。駅の階段で撮りました」
「なるほど。で、これがなんだというのだ?」
「もう一枚を、見てください」
ランコが別の写真をシノに差し出す。
「うーむ……今度は動物柄だぞ」
「それは穴吹さんが、同じ日の夕方に穿いていたものです。帰り道に京浜東北の階段で撮りました」
「同じ日なのに、朝と夕方で、穿いている下着が違うのか。着替えが必要な日だったのか」
「その日は涼しくて、体育もありませんでした。したがって、穴吹さんは、おそらく下着が汚れるような行為をした疑いがあるということです」
「下着が汚れるような行為?」
「そうです」
「“せ”で始まるような行為か」
「です。その行為を、学校内でした可能性が濃厚というわけです」
「うーん……。神聖な校舎でなんということを……頭が痛いぞわたしは」
溜息をついてシノは、困った顔をして考え込む。が、
「……ん? もしかして、ランコ」
間もなく頭を上げた。
「お前が今言った“濃厚”って、彼氏のセーOキと掛けてあるか?」
ざっくりカットして一気に数分後——。
問題となった近藤君と穴吹さんが、生徒会室まで呼び出されていた。
「俺が彼女のことを好きで、何が悪いんすか?」
近藤君は不良っぽい口調だが意外と芯の通っていそうなひとで、「彼女を好き」と言うのにも、気持ちがこもっていた。
「桜才学園は恋愛禁止だ。つまり、君らのしていることは校則違反なんだぞ」
「俺と彼女の関係は、学校の恥になるような不純なものじゃありません。会長は、ひとを好きになることがすべて不純なものだって思うんですか」
「そんなことはないと思うが……校則は校則だからな」
「ルール以上のものってあると思いますよ。会長だって、副会長の津田さんとよく噂になってるじゃないですか」
「なに? わたしが津田と噂?」
「ええ。お二人のこと、噂になってますよ」
「そそ、そんな……。恥ずかしいじゃないか。みんながわたしたちのこと噂して、ありもしないこと想像してるだなんて……」
シノは目を点にして、恥ずかしそうに肩をちぢめる。
顔を真っ赤にし、頭からは湯気が立ちのぼった。
普段から頭でっかちの生徒会長さんは、妄想も過激なのだった。
思考停止してしまったシノに代わって、アリアが出る。
トントン。と、近藤君の肩を叩き、上目使いで、
「ちゃんと膜ついてるから、彼女の穴吹さんにトイレで確認してもらう?」
と、首をかしげる。
近藤君は黙って目をパチクリさせて、
「えっと……言ってることの意味がよく分からないんですけど、もういいです。分かりました。学校内とか、人目につくところでは彼女とイチャついたりしません。今後は」
それだけ言うと、彼女と一緒に「失礼しました」と頭を下げて生徒会室を出て行った。
「うぅ〜……」
妄想から返ってきたのか、シノはようやく、よろよろと立ち上がる。
「人目につかなければいいってもんじゃなくて、恋愛自体が禁止なんだがな……」
「私にとっては、禁止で大いにけっこうですけどね」
と言うスズは、いじけて言っている感じだった。
「だから、恋愛禁止なら同性愛に走ればいいのよ」
アリアがシノに迫るように言うので、
「わたしはノーマルだぞ」
シノはきっぱり言い渡しておく。
「まあ、でも」
津田が苦笑いしながら口をはさむ。
「どうせみんな、ダメだって言っても隠れてするんじゃないですか。無理ですよ、生徒会がそこまで干渉するのは」
「なんだって?」
シノが勢いよく津田の方を向いた。
「津田、お前もやっぱ“女子高生と放課後セッX”とか、したいのか?」
「言いたいフレーズだけ部分的に強調するのやめてくださいよ」
(つづく)