BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: ±± 少年たちの恋 ±±【泣き虫少年が犯されるまで】 ( No.11 )
日時: 2014/02/23 17:30
名前: 希 紀子 (ID: JzVAb9Bh)

第2章  親子
 第9話  不登校


「お兄ちゃん、起きて」


 その声とともにやさしく揺すられる。いつも通りの朝。
 わずかに開いたカーテンから朝陽が光をさす。今日も寒い。

「お兄ちゃんってば。もう、起きてよ」

 薄目を開けて、妹の姿を確認する。


「……起きてる」
「だったら顔洗ってご飯食べなよ。私は学校行ってくるから。……今日は行くの?」


 妹が遠慮がちにそう訊いてきた。それに答えるように、うんうん、と首を振る。


「じゃあ明日は行きなよ。お姉ちゃんが週に3日は行くように言ってたじゃん」
「…分かってる」

「本当に?」



 学校へは行きたくない。たとえ保健室登校でもだ。一生、このまま布団で寝ていたい。
 だってあそこは、陽にとって地獄なのだから。学校に限らず、マンションを一歩外に出た場所は全て、地獄なのだから。


 妹の海宇(ミウ)、姉のあかりには悪いが、この性格は変えようもない。



 ——————昨日だって、同じ学年の男子に……。


「じゃあ私もう行くね」

「……いてらっしゃい」


 海宇はそのまま部屋を出た。きっと今日も部活で遅くなるんだろう。
 玄関のドアが閉まった音を確認して、陽は服を着替え始めた。顔を洗わないとといけない。





 午前の授業が終わり、昼休みに入っていた。男子のほとんどは運動場のグランドへ駆け出し、女子のほとんどが廊下でおしゃべりに夢中になる時間。
 翔太は、普段なら図書室で過ごす時間を教室で過ごしていた。たまに親友の純也と外で遊んだりする。
 だが、来週の私立入試、すなわち翔太にとって本命の入試のために今週は教室で勉強に励んでいる。


 その女子がここを訪ねてきたのは、そんな時だった。



「すいませーん、沢凪さんいますかあー?」


 サワナギ……。あ、純也のことかな。
 どこからともなく耳に入ったその声がしたほうへ顔を上げる。すると、廊下のほうに女子が立っているのが見えた。おそらく彼女だろう。


 1年、だよね。純也に何の用かな。


「今いないよー。グランドのほうだと思うけど」


 返事をすると、教室をぐるぐると見回していたその子がこちらを向いた。ショートヘアにくりくりした目。同級生ではないはずだ。



「あの、沢凪さんのこと知ってるんですかー?」
「友達だよー。それがどうしたの?」

「いいえ、…グランドですね。ありがとうございました」


 そういうなり、どこか別方向に小走りで去って行った。
 一体、純也に何の用だったのだろうか。


「ひょっとして、純也、……できたのかな。ついに彼女」


 まだそうと決まったわけではないが、何だか胸がそわそわしてきた。
 そうでないことを願うが、真相はどうだろう。


 翔太は、そこから先の問題が手につかなかった。