PR
BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- 大好きなんだから! 〜1話〜 ( No.19 )
- 日時: 2014/06/09 17:25
- 名前: やぢゃ@受験やばい (ID: k9pS0/Ff)
「あっ、ごめん!」
皐の打った球が、茂みに入りこんでいく。
珍しい親友のミスに、テニスラケットを置きながら、蓮は話す。
「ドンマーイ! 取ってくるな!」
「悪ぃ! 頼む!」
鼻歌なんか歌いながら、蓮は茂みに踏み入る。
草の伸びもさほどではなく、木が多く、見通しが悪いだけの、校内にある樹林である。
ボールを探していたが、やがて不思議なものを見つけた。
ぬちゃぬとゃと音をたてながら、地面を這うように動いている。
具体的には、草を掴み、からだを引き摺って前進している。
目やくちらしきものは一切見当たらない。
「なんか……気持ち悪いな」
早くこの場から離れたかったが、すぐに離れられない理由ができた。
気持ちの悪い生き物のすぐ隣に、先程皐が打った球が転がっている。
さて……気持ち悪いのを我慢するか。
それとも、親友のがっかりする顔を見るのを我慢するか。
ふたつにひとつだった。
PR