BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

大好きなんだから!  〜2話〜 ( No.3 )
日時: 2014/04/27 23:55
名前: やぢゃ@受験やばい (ID: k9pS0/Ff)

「彼女、まだできないの? ねえ、ねえ?」


茜が執拗に、電話でそう聞いている。
敦也に対してだ。

彼は何年経っても、彼女ができない、……というか、彼女をつくらない。

女に何度告白されようとも、断り続けてきた男である。

茜はつまらなさそうに舌打ちし、別れの挨拶を一言添え、電話を切る。


「どうだったの?」

「変わりなしの答えだった」


かなり低い声が、茜から発せられる。
よほど期待していたのだろう。


「残念だったね」


葵は口ではそう言うものの、心のなかでは大いに喜んだ。

彼女ができるということは、敦也が葵を捨てるということを示唆するのだから。


「分かったら出てってよね。いま機嫌悪くなったから」

「う、うん」


苦笑いしつつ、茜の部屋を出る。
その前に一瞬だけ、時計を確認。

夕方の四時だ、もうすぐ、敦也が帰宅するはず。


(楽しみだなあ……)


部屋を出てうっとりしていると。


がちゃり

「ただいまー」


聞きたかったひとの声が、玄関から聞こえた。