BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

大好きなんだから!  〜4話〜 ( No.31 )
日時: 2014/06/13 06:00
名前: やぢゃ@受験やばい (ID: k9pS0/Ff)

「んん……」


ごろんと寝返りを打つと、隣に寝ていたガイがふっと笑む。


「どうしたんすか、落ち着かないっすね」

「ん、うん……」

「まあ、再婚相手が来るのに、落ち着いてろって言う方が無理っすね」


そのとおりだ。

いまそわそわしているのは、他でもない。

明日、再婚相手と対面するという、人生で最も考えたくないシチュエーションのことだ。

いきなり現実を突きつけられたのだ、心が追い付いていないことくらい、しかたないだろう。まだ中学生だし。

ガイは、くしゃりと頭を撫でる。


「まあ、なんかあったら、言ってほしいっす。ちからになりたいんすから」


べつにガイとは、そういう関係ではない。
それに、むかしガイからの誘いは断ったし、いまも受け入れる気はない。

彼も、それを百も承知のうえで、葵と関係を持っている。

……つまり、ガイも同性愛者なのだが。

彼の手を握り、葵はやわらかく笑む。


「ありがとう、ガイ」

「ッ……!//」


暗がりのなか、ガイが分かりやすく赤面し、ことばをつまらせる。

そして、がばっと葵に抱きつき。


「いい子だな、葵ーっ!」

「ちょ、ガイ……っ!//」


今度は、葵が赤面させられてしまう。
ガイはおかまいなしで、葵の頬に自らの頬を擦り寄せると。


「はー……葵がOK出してくれたら、すぐにでも抱くんだけど……」

「この密着してるさなかに言わないでよ!」


いますぐ抱く宣言にしか聞こえない。

ガイはいつもどおり軽い笑い声をあげる。


「冗談っすよ。ほんと、可愛いくらい動揺するっすよねえ、葵」

「なっ……そ、そりゃあ、ガイは友だちだし……」

「友だちのままがいい、って?」


ちいさく頷くと、ガイは困ったような笑みを浮かべた。

ガイとは、小学校からの仲で、彼が同性愛者と気づいたのは、中一のとき。そのとき、言いふらしたりはしなかったが、葵は既に同性愛者だった。

一握りの生徒たちは、噂、あるいは勘づいていた。

中一の夏ごろからなぜか、すこし気まずい空気が続き。

中二の梅雨、ガイに告白された。

べつに、彼のことをよく知っているし、恋愛的感情ではなかったが、好きだったのだから、受け入れてもよかった。
けれど、それ以上に、ガイと『友人』という関係が崩れるのが、なんだか嫌で、怖くて。

断ってしまった。

数秒固まっていたものの、辛さを隠した笑みで。


『まあ、そうなるっすよね』


と言って、次の日から普通に接してくれた。
あの日から数日間は、なかなか気まずかったが。

いまも、あのことをふと思い出し、彼に悪くなってしまう。

けど、やっぱり、彼とは『友人』という、気楽な関係がよかった。