BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

大好きなんだから!  〜5話〜 ( No.32 )
日時: 2014/06/13 13:14
名前: やぢゃ@受験やばい (ID: k9pS0/Ff)

衣服を整えられると、いよいよ対面なのだという意識がより一層高まり、ため息が出るやら、胃がきりきりするやら。

母は葵の姿を見ると、にこっと屈託のない笑みを浮かべた。


「いいじゃん、格好いいよ」

「……うん、ありがと」


浮かない顔で無愛想な礼を言うと、母は苦笑する。

母はもうとっくに知っている。
断固として、再婚反対を訴えてきたのだから。


「そんな顔、相手の息子さんの前で、しないでよね」

「分かって…………る…………、って、え?」


相手の息子?

つまり、向こうも再婚……?
それとも……。


「母さん、まさか、相手のひと……」

「あ、決して女遊び大好きとか、そういうひとじゃないから」

「そ、そっか……」


再婚反対とはいえ、もしそれを押しきられて再婚されるなら、母が確実に幸せになれるひとと、結ばれてほしい。

いくら反対といっても、母の幸せだって、あるのだから。

もし葵の意見を押しきって再婚するならば、必ず幸せになってほしい。

そんなことくらい、思わなくもなかった。


「まあ、あんたとしちゃあ、再婚ってこと事態が受け入れたくないことなんだろうけど……相手もその息子さんも悪いひとじゃないし、安心しな」

「うん……」


「うん」なんて言ったが、やっぱり無理だ。

たとえどれだけいいひとでも。
たとえどれだけ優しくても。

父を裏切っているという考え方は、なかなかくつがえせなかった。