BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

大好きなんだから!  〜6話〜 ( No.33 )
日時: 2014/06/15 07:28
名前: やぢゃ@受験やばい (ID: k9pS0/Ff)

玄関まで迎えに行ってくると母がリビングを出てから、既に二十分が経過している。
そわそわしていたし、何か不安なことでも……。

いや、ほんとうは分かっている。

きっと、案外心配性な母のことだ、葵に相手を受け入れてもらえるか、不安なのだろう。

べつに、そんなこと、自分と相手だけで、決めてしまえばいいのに。

再婚に反対しておきながら、その言い分は何だと言われれば、そのとおりだと思う。
矛盾しきったことを言っているのだから。

でも、再婚して幸せになるか不幸せになるか、それがいちばん影響してくるのは、本人たちだ。子供たちなんて、ちいさな波紋が触れたていどにすぎない。


(母さん、ほんと変なとこで、遠慮がちだもんな……)


自分のことなんだから、葵に受け入れてもらう必要なんてない。

そもそも、子供ががたがた抜かしたところで、「再婚」という決断が引っ繰り返るなんて、はなから思っていない。
自分と相手だけで——または、その相手の息子とだけ、決めてくれればいい。

後ろめたくはあるけど、葵はそれについていくから。

窓の外を見やると、ふたりの男子小学生が、とんぼだけに注意をいかせ、とんぼの動きに合わせてくるくる回ったりして、危うく自動車にひかれかけている。

危なっかしいな。自分も、むかしはあんなだったのかな。

母は、べつに自分は根っからの心配性ではないと言っていた。
葵があまりにも無邪気で考えなしだから、心配性になっていると。

あんな感じだったら、そうなってしまってもしかたない気がする。

でも、もういまは違うのに。


「はあ……」


重いため息を吐いた、そのとき。

ぴろんという電子音がして、椅子に置いてあった携帯が震えた。


(? メール?)


携帯を開くと、「ガイ 一件」という表示。

このタイミングで……。
今日は、再婚相手との対面の日だと伝えてあるから、決して冷やかしや、くだらない内容のものではないだろう。
おちゃらけているように見えるガイも、相手の気持ちを考えて行動してくれている。

メールを開くと、読みやすく改行された文章が広がった。


『差出人:町田 ガイ
 subject:
 本文:
  こんにちはっす。
  葵のことだから、
  かなり悩んでるっていうか、
  萎えてるっていうか……。
  そんな状態だと思うっす。

  再婚のことは、
  葵の家のことだから、
  何も口出しできないっすけど……。
  でもまあ、端から否定するより、
  トライしてみるのもいいと思うっすよ。

  葵は葵っすからね。
  じゃ、頑張れっす!』

「ガイ……」


こういうとき、ガイはほんとに優しいな。
こんなタイミングで、こんな内容のメール送りつけてくるなんて。

女だったら、絶対惚れてる。

素早く「ありがとう、頑張るよ」というだけの、簡潔なメールを返信し、携帯を閉じる。

インターフォンが鳴るのを、背筋をすっと伸ばしながら待っていた。