BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

大好きなんだから! 〜7話〜 ( No.34 )
日時: 2014/06/15 22:00
名前: やぢゃ@受験やばい (ID: k9pS0/Ff)

ガイのメールで決意をかためたつもりだったのだが、数分すると、また急に色々な疑問や不安が沸き上がってくる。

葵と再婚相手は、うまくやれるだろうか。
その相手の息子は、自分より年上なんだろうか、年下なんだろうか。

そのほかにもあったが、いちばんおおきかったのは、そのふたつだった。

再婚を拒んでいるということを知っていて、もしかしたら相手は、かなり気を遣ってくるかもしれない。
それとも、逆にくだけた感じでくるだろうか。

相手の息子は、よければ年上がいい。
葵自身、ちょっとお兄ちゃんがいるというのに憧れている。

…………でも。


(駄目だ、全然何も楽しくない……)


考えれば考えるほど、気持ちは暗く落ちこんでいく。

何も考えないほうが、よかったかもしれない。

ガイからメールをもらう前となんら変わりのない、重たいため息をつくと。


「いらっしゃい。入って」


母の声が聞こえ、次いで「お邪魔します」という、低い男の声が聞こえる。

ついに来たか……。

まるで、ゲームでラスボスに会ったときのようなセリフだが、まさに気分はそんな感じだ。

最後の大難関。とりで

かかってこいとはとても言えない。
正直、対面したくない。


「え? 葵? ああ、なかにいるわ。敦也くんも、ゆっくりしてって」


敦也くん?

思わず腰を浮かせると。


「いえ、悪いですよ。彼は、再婚に反対なんですし、俺たちといたって、気分悪いだけじゃないかなと思いますから」


さきほど聞こえた低い声より、もうすこし高い。

青年にかなり近づいた、少年のような声。

もしかして……再婚相手の息子、だろうか。


「あ……その話、お父さんから聞いたの」

「めずらしいことじゃないですから、いいですよ」


……なんだ、その言い方。

自分で自分のこと、そんなふうに言わないでよ。
それに、その言い方……。


(なんか、気にくわない……)


急降下していく、機嫌のよさ。

葵にもよく分からない。

でも、なんだかすごく腹が立つというか、自分を卑下ひげしているようにも聞こえる。

なんでだか……苛々いらいらする。


「葵ー、挨拶して」


がちゃりとリビングの扉が開き、母が入ってくる。
その後ろに、母より十センチほど背の高い、大柄な男性。

そして……。


「お邪魔してます」


にっこりと笑う、綺麗な顔。

整った顔。
まっすぐとおってくる声。
細められた瞳。
笑みのかたちになっているくちびる。

全部、全部……。

息を呑み、彼をじっと見てしまう。

しかし、すぐにはっと我に返り。


「ど、どうも」

「葵、紹介する」


ふわりと笑む母だが、それ以上に。


「お相手のかたと、息子さんの敦也くんよ」