BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

大好きなんだから!   〜1話〜 ( No.39 )
日時: 2014/06/30 00:44
名前: やぢゃ@受験やばい (ID: k9pS0/Ff)

茶筅ちゃせんを置き、ゆっくり茶を相手に差し出すと、まわりからため息が、主に男子から漏れる。

柔らかい笑みをたたえながら顔を上げたのは、年齢に合わない、ひどく童顔の少年。


「菅田、今日も普通に可愛いな、おい……//」

「写メ写メっと」

「やべえ抱きたい」

「みなさん」

「「「 ! 」」」


落ち着いた声に、その場にいる全員がびくりと肩を震わせる。
そうっと振り返ると、そこには、控えめに笑う、菅田……菅田秋斗がいた。


「お茶のときは、お静かにお願いします」

「「「 は、はい 」」」


男女声を揃えて返事をすると、彼はにこりと笑ってから、ふたたび茶をたてることに集中しはじめた。






リングに吸いこまれるボールに、歓声が、主に女子から溢れる。


「きゃああっ、加藤くん格好いい!」

「スリー、ほとんど毎回決まるよねっ」

「彼氏にしたい〜」

「でも加藤くん、付き合ってるんだよね」


女子の声に、加藤……加藤光汰は構わず、ディフェンスに戻る。

と、光汰の背中に、不意に痛みが走った。
振り向くと、そこには三年の先輩が、不服そうな顔で光汰を見下ろしながら、背に肘を押しつけている。

呆れたような表情で、光汰は問う。


「どうしたんです、先輩」

「なんでおれよりチビのくせにモテるんだ」

「またそれですか……」


毎回彼が光汰に不服の視線を向けるときは、なぜ自分よりモテるんだという内容ばかり。

他にないのか、他に。

光汰は視線を前に戻し、冷たく。


「知りませんよ、そんなの。女の頭のなかとか、どうでもいいですから」

「相変わらず女には冷てえな。ほんと、なんでモテるんだ?」

「先輩、それ、もういいです」


朝練も含めると六回目だ。六回ともなると、さすがにうざくなってくる。

先輩はいきなり、にやりと笑むと。


「けど、驚くだろうなあ。そんな憧れの加藤光汰くんは、実はホモなんて」

「そういう言い方しないでください」

「ん? 悪ぃ悪ぃ」


露骨に顔をしかめるが、先輩は悪びれるようすもなく、にやにやしながら。


「しかも、その彼女は他の男どもにも大人気」

「……………………」


今頃、また彼は部活で、茶でもたてているんだろうか。

秋斗……。