BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

大好きなんだから!  〜3話〜 ( No.45 )
日時: 2014/07/06 14:06
名前: やぢゃ@受験やばい (ID: 6nOSsJSp)

次の瞬間。

肩を押されたと思ったら、いつの間にか天井と、冷たい瞳の黒子。

そして、首を強く絞める手。

ナイフが、体育館に転がる音が、えらくおおきく響いた。

非力だと思っていた黒子は、予想以上のちからで、気管をふさぎ、骨の軋む音が体内で響く。


「黄瀬くんが悪いんですよ?」


先程までの笑みはどこへ行ったのか。

冷徹の一言につきる、彼の平淡すぎる声が、降ってくる。


「僕の気持ちに気づいてたくせに、気づかないふりして……」

「き、も……ち……?」


……ああ。そうか。
そうなのか。

ようやく合点がいった。

以前、黒子は黄瀬のことが好きだという話を聞いたことがあった。
さすがに冗談だろうと思って真に受けなかったが、それがいけなかったのか。

まさか、ほんとうだったなんて……。

では、振り返ったときのあの瞳に溢れ返っていた感情は?

嫉妬? 憎悪? 怒り? 憎しみ?

それとも、ほんとうに愛?


「もう、絶対離したりしません」


首にかかる手に、ちからがこもっていく。

きっと、黒子が四人を手にかけたのは……。

止めて、黒子っち。苦しいっす……。

こんなんじゃ、人殺しだ。
こんなこと、駄目だ。

けれど、もう遅い。

ここまで彼を狂わせたのは、おそらく、愛と嫉妬。


「まわりのみんなと楽しそうにしゃべるんでしたら、もう『ボクノモノ』にします」


それは、ただの独占じゃない。

酸素を吸おうと口を開けるが、満足に空気すら入ってこない。

このままじゃ、ほんとに……。

目の前がかすむなか、黒子が笑む声が聞こえ、耳元にくちびるが寄せられる。

優しげな低音が、朦朧もうろうとした頭に満ちていく。


「愛してますよ? ……黄瀬くん」


ばきりと、嫌な音が、体育館に響いた。



ナイフと頬を伝うしずくが、夕日色に染まる。











     End