BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- 大好きなんだから! 〜4話〜 ( No.5 )
- 日時: 2014/04/28 01:01
- 名前: やぢゃ@受験やばい (ID: k9pS0/Ff)
日付が変わり、数分が経った。
静かに扉が開き、待っていた兄・敦也が入ってくる。
「葵」
「うん、兄さん」
「ぴょこん」という音が似合いそうな動きで、布団から葵が顔を出す。
敦也の顔をしっかり確認すると、嬉しそうに笑った。
敦也も微笑み返し、ベッドに腰を下ろす。ぎしりと、ベッドがじゃっかん、軋む音がした。
「来てくれてありがとう、兄さん。仕事があるからって、てっきり断られると思ってたのに」
「仕事より、お前の方がはるかに大事だ」
葵は上半身を起こし、しばらく敦也と見つめ合い。
そっと、くちびるを重ねる。
成人した敦也のくちびるに、かすかに残っていた酒の味がして、葵は思わずむせる。
いつもは敦也の方が、葵とキスする前は飲酒しないよう、心がけていたのだが、今回は親との場。断る理由を話すわけにもいかない、飲んでしまっていた。
「だいじょうぶか」
背中をさすろうと伸びた手を、葵が優しくつかむ。
「僕なら、だいじょうぶだから」
あまりだいじょうぶそうには見えないが。
葵は、炭酸すら苦手なのに、酒なんかくちにしたら、倒れてしまうのではないだろうか。
しばらくむせた後、葵は顔を上げ、今度は頬にキスをする。
すぐにくちびるを離し、敦也を見上げると、ちょっと驚いた顔をしていた。
「今日は、ずいぶん積極的だな」
「だって、夕飯のときに言ってたじゃん。今度は半年くらい、会えなくなるかもって」
そう。
仕事の関係で、海外にまで行くことになり、うまくことが進まないと、半年は帰ってこられなくなる。
葵は、それを気にしていた。
「もし半年も会えなくなっちゃうなら、今日は自分からいこうと思って」
恥ずかしそうに頬を赤らめている葵は、やっぱり何度見ても可愛い。
敦也はふっと笑い、葵の頭をぽんぽん撫でる。
猫みたいな表情になった葵のおでこにくちびるを添え。
「どうする? もう、はじめるか?」
「うん、そうしたい」
こちらを見上げてくる今晩の葵は、なぜか艶めかしく見える。
「はやく……ね?」
「いつ、そんな可愛くねだる方法、教わったんだよ」
ふたたび、ベッドが軋んだ。