BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

大好きなんだから!  〜4話〜 ( No.52 )
日時: 2014/12/20 14:45
名前: やぢゃ@受験やばい (ID: twjanxuI)

「なんでさ……こうなるの?」


ちょっと呆れ気味に聞くものの、拒む気配はまったくない。
なんだかんだもんくは言うが、敦はほんとうに、こちらのやりたいようにさせてくれるようだ。ときどき、よく分からないところで律儀な敦である。

それも、いまは好都合だが。

両手を押さえつけられて、ベッドに寝転がる敦を、うえから眺める。
いつもは、敦のほうが見下ろしてくるのに。


「だって、なんでもしてくれるんだろ?」

「普通こっちに発想させる?」

「敦じゃなかったら、もっとべつに、なにかしてもらっただろうな」

「なにそれえ」


ことばのわりには、まんざらでもなさそうな敦。まあ、分かる気がするけど。

なにをするかは、理解しきっての会話。
べつに敦とは、セックス目的で付き合っているわけではないから、こういう会話も、氷室は結構好きだ。


「なあ、敦」

「んー?」

「キス、してもいいか」

「……いつもは勝手にやるくせに」


そう言って、ゆっくり上半身を起こす。
氷室も顔を敦に近づけ、そっと、くちびるを重ねる。

触れるていどのキスでは、当然ものたりない。
けれど、焦ったって、ゆっくりやったって、気持ちいいことに変わりはないのだ。

なら、できる限り、敦が苦しくならないほうを、選びたい。


「室ちんのくちびる、甘い」

「ケーキの味だろ。そんなこと言ったら、敦のほうがよっぽど甘かったぞ」


いちばん食べたのは、敦なのだから。
敦が感じたように、氷室だって、敦のくちびるが甘いなと、そう感じた。
くちのなかは、もっと甘いんだろうな。

ふたたび、くちびるを落とし、今度は舌を入れる。
待ち望んでいたと言わんばかりに、敦の舌が絡みついてきて、離さない。
甘い舌と、甘い口内。

いつも、敦は、甘い。

一分近く、互いをむさぼるように求め合い、くちびるを離す。
息切れのせいか、氷室とキスをしたからか、頬が紅潮して、可愛いとしか形容しようがない彼。

そんな姿を見たら−−我慢できない。


「なあ、敦。今日は、俺の自由にしていいかな」

「……なにしてもいいって、言ったじゃん」

「そう言うと思っていたよ」

「室ちんの誕生日なんだし、たまにはねえ」


へにゃりと笑う敦は、いつ視てもきゅんとしてしまう。
と同時に、氷室のなかで、なにかが切れる音がした。


「敦、今日は歯止め、きかないからな」


甘美に指先を絡める。




     End


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空鴉にメールで書いたものでした。
ほんとは、室ちんのお誕生日にあわせて
書いたものだったのですが…、
もう二ヶ月くらい経っちゃった、
ごめん、室ちん。