BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

大好きなんだから!  〜12話〜 ( No.57 )
日時: 2015/08/31 23:45
名前: やぢゃ@ぽんたの飼い主 (ID: JuyJRz6j)

目の前に広がる、綺麗な、整った顔立ち。

鼻孔を突く、ほんのり香るおとなな香水。

左手と右頬に感じる、ひとの体温。

静かに高鳴っている、胸の奥。

いまは、当たり前みたいに触れ合う、やわらかいくちびる。

もうなにもいらないんだよ。
だって、僕は、優しく包んで欲しくて。






今晩は、母が気合いを入れたらしく、マカロニグラタンが食卓に並んでいた。
テレビで、手軽にホワイトソースを作れる方法を知ったから、それを試してみたかったのだそう。

そんなのが建前であることくらい、葵は気づいていた。この母親が、テレビで見たお手軽調理法なんて、実践するかよ。

ただ、淳瀬さんに、いいとこ見せたいだけなんだろ?

たぶん、敦也たちも気づいている。分かんないけど。


(どうせ結婚したら、バレるっての……)


マカロニを無駄に、口内で噛みながら——いや、むしろすり潰しながら——、母をじっとりと横目で見る。当の本人はと言うと、淳瀬さんと話すのに夢中で、
こちらのことなど気に留めていないようす。

自分の母親が頬を染めながら異性と話しているのを見るのは、あまり気分のいいものではないな……。

ちらっと敦也に視線を移すと、誰を見るでもなく、ただただ黙々と、行儀よく、グラタンをくちに含んでいた。

邪魔したくないからなのか。
見ることすら嫌なのか。


(いや、たぶん……)


どちらも違う。

そう直感が告げているけれど、なぜそう思うのか。
葵自身も、まったく分からない。






「みて! おっきいおはな!」

「ほんとだな。父さん、あのお花の名前、知ってるぞ」


きらめく空を指さして、無知な子どもが、底抜けに明るい声で叫ぶ。まるで、父親の注意を引こうとするように。

子どもの頭を優しくなで、父は空を見上げながら、低く、ぬくもりの感じられる声で応える。


「あれは、花火というんだ」

「はなび?」

「そうだ。お空に咲く、綺麗な、特別なお花だ」

「はなび……きれい!」

「はは。そうだろう、そうだろう」


弾んだ声で、父は子どもを高々と持ち上げる。
遠くの方で、どん、どん……と、花火の打ち上がる音が、響いている。

きゃっきゃと甲高い声で子どももはしゃぎ、父と子はしばらく、海辺でときを過ごした。ふたりともじんべいに浴衣という、なんとも、
夏らしいかっこうをしていた。

ちょうど、祭りの帰りだったような気がする。
この記憶は。

まだ四つの我が子に、父はこんな提案をする。


「おまえは、お空に咲くあのお花を、家で見たいとは思わないか?」

「おうちで? みれるの!?」


さらに明るい声を出しながら、子どもはじたばたと、興奮で手足をばたつかせた。そんなのどうってことないと言うように、父は子どもを抱え上げたまま、にっと笑う。


「ああ、見れるぞ。ちょっとちいさいし、きらきらしたりはしないけどな」

「みたい! はなび、みたい! きらきらしなくていい!」


——次の日、折り紙というかたちで、子どもの元に、花火は咲いた。






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久しぶりにPCから投稿しております、やぢゃです。
PCだと、あまり顔文字に幅がないので、
こんな感じの、ちょっと平淡な感じで今回は喋ります。
ときどき顔文字入りますけど。
いやぁ、顔文字って便利ですね。

実のところ(というか、たぶんお察しでしょうが)、
やぢゃはかなり、葵と敦也が好きなんですよ、
個人的に(^ ^;)
はじめてオリジナルでBLを書いたのが彼らなので、
やはりそのぶん、そうとうひいきしています……。
他のも更新しろよって話しですね、ほんとうに馬鹿だ、俺……。

秋斗と光汰のお話も、そろそろ続き書こうと思います。


長々と雑談まで呼んでくださり、ありがとうございますm(_ _)m
これから学校がはじまりますので、さらに更新頻度が
落ちる可能性がございますが、どうか
生暖かい目で見守ってやってください……。

ではでは。