BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: ハイキューBL ( No.121 )
- 日時: 2014/08/12 12:44
- 名前: 鑑識 (ID: xLaEhu2C)
最近黒大しか書いてませんね。なんかすみません。しかも短いのばっかりですね。夏休みだるい。
もしも、これはあくまでもしもの話だけれど。
ふんわり微笑んだまま、彼は言う。
眉間にしわを寄せて、それでいて頬を緩めた、見慣れた表情で。
ソファにならんで座って、テレビを眺める至っていつも通りの日常の中に放り込まれたそれ。
なんとなく先は読めていたけれど、頷くことで先を促した。
「なぁ、おれがさ」
「別れよう、なんて言っても別れないからな」
「....よくわかったな」
微笑みを携えたまま、正面を、テレビの方を向いたまま、彼は口を開く。
どんな意図があるかも、それもまた聞かなくてもわかりきったことだったけれど。
口元を歪める。
「別れてくれないのか?」
「そりゃあな。別れなきゃ死ぬって言われたらそのまま一緒に死ぬくらいのつもり」
「そりゃ結構なこって」
「お前がいない人生なんていらない」
「お前が嫌いだって言っても?」
「それはねぇだろうなぁ」
「己惚れんなよバカ」
からからと快活にわらって、彼はようやくこちらを向いた。依然として目は細められたまま。
別段、彼は俺のことが嫌いなわけでも、本気で別れたいと思っているわけでもない。
ただの、興味本意なのだろう。あぁ違う。だろう、なんて曖昧な表現を使うまでもなく、そうなのだ。
だから俺は、あくまでにやけた顔を隠すこともなく、彼の話を聞く。
「俺が家出したら?」
「まず通報。それから使える情報網全部使って絶対に見つけ出す。絶対に」
「はは、こえーな」
「付き合うとき、逃げられないって言っただろ?」
「じゃあそうだなー、浮気したら?」
「しないくせに」
「もしもの話だ」
「もしそうなったら、あぁそうだな、その女、いや男かもしれないけど、そいつを殺すかもな」
そこそこ酷いことを言ったつもりだったのだけど、彼は表情を変えなかった。さもそれが当然であるかのように、いっそ満足げに俺の目を見る。
少しだけ、恐怖を感じた。同時に感じた甘美なものは、首の裏っかわをぞくぞくと通り抜けていく。
「そっか。それが聞ければだいたい満足だ」
「あぁそう。あんたはどうするんだ?俺が同じことしたら」
「お前こそ、絶対にしないくせに」
「いんだよ。今はもしもの話を楽しむ時間なんだろ?」
「まぁ、な」
いろいろとけちをつけたくせして、彼の中ではもう、意志が固まっているようだった。
すこし開いた瞼の奥に、これは絶対だという、自信と決意とが感じられる。
「そうだなぁ。俺は、
絶対にお前に見つからないように、
醜く涙を流しながら、
お前のことを心底恨んで死ぬほど後悔してそれからお前との幸せな思い出と辛い思い出をひとつずつ思い返すんだ。
それからそれをひとつひとつ頭の中で握りつぶして、
一番最後にお前の顔でも握りつぶしたら、
多分すげぇ充足感っつーかそういうのに襲われてさ」
(メイビー、死ぬよ)
「首吊りでも、するんじゃねぇかなぁ」
笑顔の、ままで。
「お前も一緒に逝くか?」
「いや、遠慮しとく」
「お?俺がいなくても生きていけるってのか」
「あぁ生きてくさ。お前からの最悪のプレゼントでも背負いながら、寿命まで一人で生きて、最期にお前のことだけを考えながら死んでやる」
「捻じ曲がってんなぁ」
「お互いにな」
この黒大ちゃんは別に呪われているわけでもなくて、頭がおかしくなったわけでもなくて、ただ純粋に単純に盲目的に狂おしいまでに、互いを愛しているだけなのです。
それを人がなんと呼ぶのか、そんなの知ったことではないのです。
↑どこかに入れたくて入らなかったのでここで言います。病んでるのかわいい。いやこれを病んでるにカウントするかは微妙だと思いますけど。