BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: ハイキューBL ( No.150 )
- 日時: 2014/09/14 21:46
- 名前: 鑑識 (ID: xLaEhu2C)
サワムラーたる私による私のための大地さん受け。最近牛大とかどうだろうと考えて考えて結果ほとんど供給がないのにハマってしまいました。自家発電頑張ります。流行れ。
久々にながい牛大です。
初めて出会ったのは、夕飯後にジョギングをしていた時のこと。
基本的には同じルートをぐるぐる回っているのだけど、その日はただなんとなく、いつもとは違う道を通っていた。
月明かりに照らされたコンクリートに、見上げれば満天の星空。少し小道に入れば人気もなくて、どこか探検しているような気分で浮かれていたところに、対向から走ってくる見覚えのある顔を見つけたのだった。
遠目に見てもわかる高い身長に、逞しい体躯。走る姿勢に隙も無駄も無くて、どこか機械的に感じられる。
ぼんやりとしか見えないが、服装は自分と同じようなTシャツにジャージといったシンプルなもので、肩にはタオルをかけていた。
どこで見たのだったか、すごく身近で、それでいて一度も出会ったことはないような。
考えているうちに、その男との距離は縮まっていく。知り合いではないのかもしれないけれど、少しだけ緊張しながら走る速度を緩めた。
一瞬街灯に照らされた男の姿見は、良く言えば凛々しく悪く言えば無愛想な瞳に、すっと通った鼻、闇に溶け込む暗く短めの髪色。
全体的に整っているが、どこか威圧的に感じられるようなこの顔は、
「牛若....!?」
「ん?お前は....」
少しだけ見上げる形に写った顔は、あぁそうか、月バリで見たのだった。
同じ宮城でありながら遠い存在に感じられた白鳥沢の特集がされていた。何月のものだったか、いくばか穏やかな、それでも鋭い目つきが印象的な、エースが取り上げられていたのを覚えている。
名前は、牛島若利。類希な身体能力とバレーセンスに、恵また体躯。バレーに打ち込むストイックな姿勢からも、【バレーボールのために生まれてきた男】なんて見出しをつけられていた。
そんな彼が、目の前に。
日向と影山の台詞が脳裏に蘇る。たしか、谷地さんちの近くに白鳥沢があって、そのあたりは牛若が出没するのだと。白鳥沢に偵察行ってきました、なんて元気に告げた彼らにゲンコツを見舞ったことを思い返しながら、立ち止まった彼と視線を合わせた。
「烏野のキャプテンか」
「え、」
「違ったか?」
「そうなんだけど、どこかで会ったことあるかなって」
「いや。直接の面識はないが、烏野は変な速攻を使うと聞いてな。一度見たことがある」
「あぁ、そうなのか」
ただ話しているだけだというのに、彼から発せられる王者の風格というやつなのだろうか、体がこわばっているのを感じた。
しかし一度合わせた目は捉えられたまま引き剥がすことができない。彼も視線を離そうとしないので、そろそろ息苦しくなってきた。
「お前は、よく努力をしているんだな」
「え?」
「プレーに表れている。あれだけのレシーブの安定感は、相当な努力の賜物だろう。拙い部分もあるが、評価に値する」
「それは、どうも」
唐突な褒め言葉に戸惑いを隠せず、返したのはそれはもう情けない声になった。
少し斜め上からの評価に普通ならば不快感を覚えてもおかしくないのだけど、しかし彼ならばしっくりくるのだから不思議だ。
遠い世界にいるいわば芸能人のような、手の届かない存在だという認識だった王者に、少しでも興味を持たれていたことがどこか誇らしくて、襟足の辺りをかく。後でスガ達にも教えてやろうと少し笑えば、牛若は不思議そうに小首をかしげた。デカい体に見合わないかわいらしい仕草にまた笑う。
「何を笑っている?」
「悪い、思ってたよりも怖くなかったから。つい」
「怖い、のか?」
「最初は威圧感あって正直ビビってた」
「やはり俺は、他人に恐怖を与えているのか」
「やはり?なんか言われたのか?」
聞けば、ここではなんだからと近くの公園へと連れて行かれた。有無を言わさぬ姿勢の割に相手を気遣っているのが、ギャップというのだろうか、なんだか面白い。
ぬるい温度のベンチに座ると、彼は早速口を開いた。
はい前編です。