BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: ハイキューBL ( No.83 )
- 日時: 2014/07/27 00:30
- 名前: 鑑識 (ID: xLaEhu2C)
ごめんなさいにゃるさん、ぼくあかでごめんなさい。
前編になります。無駄にポエミーで長くて読み返したくないシリーズ第二弾です。誰得。
好きだと、伝えた。
同じ男で、後輩で、クールで冷たくてでも素直で意外と表情豊かでかわいいあいつに、好きだと。
怒られるだろうか泣かれるだろうか、それとも、もしかしてもしかすると笑って受け入れてくれるんじゃないか。
なんて淡い期待は、やはりそう簡単に届くはずもなく。
いや、怒りを見せてくれれば、悲しみを伝えてくれたのなら、まだよかったのだ。
それでも諦めるつもりはないから、しつこく押しかけて絶対にものにするつもりであったから。
しかしそれはあくまで俺の頭の中の妄想であってシミュレーションであって、つまり現実ではなかった。
「あぁ、俺も好きですよ」
そう喜ぶべき事実を告げたあいつの顔に浮かぶのは、照れでも怒りでも困惑でも微笑みでもなくて、それとは正反対に位置するいわゆる無表情であった。
思いがけない反応に面食らう。
見開いた瞳に映るのは、何度瞬きしても変わらず真顔のままのあいつの姿。
極端に驚くと無表情になるタイプなのか、それとももともとこんなに無表情だったか。
いや、記憶をたぐり寄せても、少なくとも俺の前での赤葦は感情豊かな姿を多くを見せていたし、驚いた時には素直に目を見開いていたはずだ。
ならばこの無表情は、先程告げた好きだという返事は、一体。
いや、きっと俺は、俺の告白は、はぐらかされたのだ。
あいつの好きは先輩としての、ひとりの人間への好意。
俺の好きは、恋愛的な性的な、ひとりの男性への好意。
それがすれ違ったのだ。否、すれ違わされたのだ。赤葦の思惑によって。
ぼんやりと考え事をしているうちに、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
「それじゃあ、また部活で」
そう告げて去りゆく彼にかける言葉が見当たらなくて、呆然と立ち尽くす。
あぁ、クールでやさしいあいつの背中は、これほどまでに小さく見えただろうか。
それから、部活の時間になっても、廊下ですれ違おうとも、どこかよそよそしい態度を取るようになったあいつは、決してこのことを話題に上げようとはしなくなった。
俺が上げようものならば、いかにその直前まで笑顔でいようと困った表情をしていようと、たちまち無表情になるのだ。
赤葦の全てを癒しとして生きてきた俺に、その仕打ちはあまりに酷だった。
そのうち、俺たちの間でこの件は話題に上がらなくなっていって、そうすれば違和感のあった関係性は、徐々に元に戻っていく。
相変わらずあいつの目には怯えが宿ったままだけれど、これまで通りの表情を見せようとするものだから、このままの方が良いのかもしれないなんて思ったりもした。
もちろん、それはつまり俺の一世一代の告白を無かった事にされるわけだから、それはもう辛いのだけど。
中途半端に見えますが前編になります。