BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 【BL】居候が無駄に可愛い件について。 ( No.15 )
- 日時: 2014/09/03 18:45
- 名前: 優斗 (ID: 9/mZECQN)
「うぃー…お風呂、お先です。」
「………分かった…」
寝る前に珈琲は飲まないと誓っていたが、あまりにも美味しそうにブラック珈琲を飲む藤堂さんにつられて砂糖とミルクの沢山入った珈琲を俺も作る。
珈琲を飲むとカフェインで眠れなくなるとかなんとか言うが、多分それは夜に飲む珈琲はテンションが上がるからだと俺は思う。暖かいし、甘いものを夜取ると少なくとも俺はテンションが上がるな。
濡れた頭をタオルでふき、大きな白いシャツに珈琲を溢さない様に口に入れた。今度はきちんと下ははいてるぞ。スッゲー短いけどジャージな。
元々、女みたいだと言われてきた俺の体型だ。こんな短いジャージを履くと下に何も履いてないみたいになってしまうけどな。
藤堂さんは少し恥ずかしそうにいいと言ってくれた。ならいいんじゃ無いのかな。言われるがままに俺はそれを着た。下着は貸して貰ったが…やっぱりでかい。
「俺、風呂入ってくるから。留守番よろしく。眠たかったら寝ていいよ。」
「あっはい!」
さっさと着替えとタオルを持ち、風呂場へ走っていった。…とは言われても、寝れないし。取り合えず、携帯でメールを打つ。
最近は便利なアプリとか出てるが、俺はめんどくさいので入れてない。遅れてると先輩や何年も会ってない友達に言われたが、変な所にも繋ぎたくないし。
「えーと、今なにしてんの?っと。」
送信。
間もなくして電話が鳴る。
「…もしもーし。」
『今ァ?…愛してる…』
「ふざけんな。」
『ジョークや!冗談!』
本当に同い年かよと思う少し低めの声で笑っている。柏木疾風。その奥で爆笑しているのが妹の楓。
変な兄妹だが面白くて…なんせ、小学校からの友達だ。俺が頭の程度がよくなくて怒られてる所にはいつもこいつがいた。
元々、俺らは頭もクラスでは一位二位を争う…馬鹿だった。親と先生にはよく怒られてさ、0が二つのテストの答案なんて見たことねーし。まあ、それが今のあいつの商売に影響して無いかと思うと…って、俺はもう影響してんだけどな。頭を使わない仕事だし。
『今か…引っ越しが終わって、ゆっくりしとるところ。』
「へー。…ちょっと待て、引っ越しってどこへ?」
『えー、そんな知りたい?…桔梗ヶ丘(実際のものとは関係ありません。)やよー。』
「うっそ…俺んち…じゃなくて、俺の今の家の近くじゃねーか!」
少し嬉しかったのか、叫びぎみに話すとブチッという大きな音と共に楓の甲高い声に変わった。
『兄やんが、運命かって!』
「何キモい事言ってんの。」
『ウソウソ!』
こいつらどんだけ嘘つくんだよ。親から習わなかったか?あるいはお婆ちゃんに。嘘をつくと閻魔様に舌を抜かれるって!
『…兄やんは、けー君に会いたくてここにしたんやよ?』
『だぁ!何言っとんねん!アホ!もうええ、むこいけ!』
…なんだよ、図星かァ?
咳払いをしたあいつが聞こえない声で喋る。
「なんて?」
『……別に、俺、そんなお前とか追いかけてへんし。勘違いせんといてくれる。お前の事、全然好きとかちゃうし。むしろいつ殺したろか思っとるくらいやわ!』
「…今なんて?!俺に死ねってか?!…とぼけんなよ。お前とは一生喋りたくない!」
『え…ちょ!…ああ!分かっとるわ!』
何か言いたそうだったけどすぐに切ってやった。それからも電話はかかってこない。
なんだよ。俺、悪いことしたか?!
「…サイテーだよ。アイツ。」
頬を膨らませると、自分でも子供っぽいかなーと思うけど。とてつもなく甘い珈琲にまた口をつけた。
溜め息をはくと後ろで小さな声が聞こえる。
「…どうした…」
「なんでもないです…少し…」
辛気臭い俺の顔を見たのか見てないのかは知らないけど、何か冷蔵庫の中をごそごそと探っている。
背中で感じる冷たい冷気が少しだけ寒かった。
「…これ食べる?」
「あ…ありがとうございます…」
差し出されたのは美味しそうなわらび餅。冷えてて少し固かったが美味しい。多分、このかかってる黒蜜のおかげではないと思う。
寝れないのも、美味しかったのも、藤堂さんのせいだ。