BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 【BL】居候が無駄に可愛い件について。 ( No.22 )
- 日時: 2014/09/10 22:34
- 名前: 優斗 (ID: ???)
「で…名前、なんてんスか?」
「そこまで言わなきゃ駄目か。」
眠たそうに眼鏡を外し眉間の少し下を押さえる。ブラック珈琲を飲み、少し間を開けるが話すのか話さないのかハッキリして欲しいほどだ。
自分では気づかない貧乏揺すりを更に加速させる軽石を藤堂は少しだけ申し訳なさそうに揺れる足に目を落とす。
「分かった。名字だけな。」
「っしゃぁ!」
ガッツポーズで次の言葉を待つ子供のような目付きとうんざりしたような目を割り込むように入って行く一人の男に軽石は蹴りを食らわす。
「うひゃ!」
変な声の後から聞こえるマグカップの割れた音が会社のパソコンの微かな機械音と共にオフィス内に響いた。
水色の少し薄汚れたカーペットの上に染み込んでいく珈琲を目の当たりにするが、睨み付けられる軽石をよそに爽やかに笑う青年は長い前髪を掻き上げた。
「すみませんっ!先輩方の大事なマグカップを割ってしまい!」
反省しているのかしていないのか、定かでは無いが口端の簿黒を少し上にあげているので多分していないに近いだろう。
そんなことよりだ。
「おいィィイ!!どーしてくれんだよォ!尚江ェ!」
「…………おい。」
「なんか言ってやって下せェ!おやびん!って、あだっ!!」
そばにあった銀色の大きな盆で軽石の頭を今までに無いほど強く叩きつけた。当然、シンバルンの様な音でもう一人の会社員も出てくる。
「何をしているんですか。〆切も近いってのに!」
「すみません。僕のミスで少し…」
「尚江っちの言うことならいいけど。おい!またさとぷーかよ!」
妙なあだ名を叫び、漫画のペン軸を片手に物凄い形相で現れた男にも藤堂は静かに怒りを覚える。
「…あっ!ボス、お疲れ様ですっ!」
「誰がボスだ。して、前田。テメー。何漫画とか描いてんだよ…マーガレットか何かか!?」
「甘いですね…ちゃおです。」
目の馬鹿デカい金髪の女が手を振る表紙を珍しい物を見るかのように見つめた藤堂に、軽石は後ろから殴りかかる。
「後ろが好きだらけだァ!」
「甘いわァァ!!」
応戦する尚江。戦う軽石。それを笑う真栄田。
「テメーら……いい加減にしやがれェ!!」
叱り付ける藤堂。
今日も、会社は平和です……