BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 【BL】居候が無駄に可愛い件について。 ( No.4 )
- 日時: 2014/08/31 13:00
- 名前: 優斗 (ID: hujSVxra)
しのさん→
はい!いいですよ(*´∀`)
桜井って名字だけに、俺は春に生まれた。
名前が恵一というのは俺が長男だから。姉ちゃんが恵だからかな。
そんな俺も、やっと就職して運送会社に今では勤めている。
「青山運送でーす。」
「いつもありがとねー!あ、ハンコこれねー。」
無愛想に呟く眼鏡の男と金髪の天然パーマの男。印刷会社に関係があるのか無いのかは分からないが、某大企業の小包が金髪の掌に乗った。
胸元に見える『軽石』という名字を俺はよく覚えている。奥の男は確か『藤堂』だったかな…
奥の人はいつもブラックコーヒーを飲みながら眉間にシワを寄せて働いている。何も喋りやしないので軽石さんにしか頭を下げないが、その人の声を聞いてみたいと思う時は多々ある。
が、今日はそんな藤堂さんが口を開いたのだ。
「……軽石…職場にそんな如何わしい本を送り付けるとはな…」
「いいじゃ無いスか。ちゃんと金は払ってるんだし。」
し、渋い…
想像通りの渋いボイス。
なんか、ダンディなおじさまが出しそうな声だな。
なんて考えながらもきっちりと伝票をもらい、その如何わしい本(確かに如何わしい)に目を通すお客様にとびきりの笑顔を見せて、その場を去った。
今、藤堂さんが軽石さんを殴った様にも思えたが俺には同情しかしてやれないや。
車のエンジンをかける先輩に目配せをする。煙草をふかしながらくいっと後ろを指差すので荷台の中へ乗り込んだ。もう一つ荷物があるらしい。
「すみません…もう一つ…」
「ほらァ…道さんも頼んでんじゃないスか。」
「勘違いするな。」
渡す小包に「ありがとう」と小さく呟きお礼を言われて持っていかれる。間近で聞かされるとなんか男でも惚れそうになるな。こう…ボスっとか言ってみたくなる。
「それでは!」
軽石さん達に手を振り、上機嫌で俺は助手席に座った。
「何かいいことでもあったのか?」と茶化されるが俺は内緒と先輩に言う。赤信号になる毎に聞かれるがしつこいので足を踏んづける。トラックの威勢のいいクラクション音と先輩の悲鳴はどこかの交差点で重なりあった。
「たっだいまでーす。」
誰もいないシーンとした部屋。マンションの一室。
怖いよな…いや、俺がだよ。誰もいない部屋に声かけなんて。
「……ノゾキアナ…みたいな展開はねーよな。あはは。」
一人で笑ってみては肩の力を抜く。
そして、焦げ臭い空気を吸い込……ん?あれ?
「…スンスン…」
焦げ臭い…
「けっけーちゃァァん!!火事ィィイ!!」
桜井恵一。
親元を離れてちょっと。
家を無くしました。
急展開すぎる。
そして、俺の運が怖い。
いつも見てる朝の占い。もうぜってー見ねェ!
……でも、アナウンサーが可愛いんだよな…
「はァァ…」
重たいため息は、春になっても少し寒い夜の空気と混ざる。ギリギリで取ってこれた親からの仕送りは次の物件を探すまではもってはくれなさそうだ。携帯はほぼ電池がない。財布には千円。
「俺…どうすればいいんだよ…」
続く。