BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 【BL】居候が無駄に可愛い件について。 ( No.76 )
日時: 2015/02/21 21:53
名前: 優斗 (ID: o/NF97CU)



先程から顔を全く見なかった親父だったが、横目でちらりと相手の顔を見たんだそうだ。
真っ赤な顔で下唇を噛み締めて、嬉しそうにも怒っているようにも見えたが、親父の話に頷きながら微笑んでいた。

これにはさすがの親父も気付いたらしく、彼の言われるがままになろうとしたらしいんだ。

気付くと意識をしてしまうもので、男でい惚れてしまいそうな大人の色気、笑うときの喉をならす低い声。全てに対して、親父まで耳が真っ赤になったらしい。




「これなんていいんじゃないですか?えーと、頭…」
「頭なんて、やめろよ。永って名前が俺にはあるんだから!」
「えェ…えへ。僕の名前分かる?…そっか。親父さんから聞いてないのか。」

悲しかったのか
照れ臭そうに、所々跳ねた頭を触ると目を細めて笑い男は言った。

「僕は、高藤。高藤栢木。栢木って呼んで。」

高そうな服を棚へ戻し、もう一度笑って永を見た。

「何が食べたいですか?」

自分より一回りも歳上なのに、ましてや男だ。初対面であり、自分はヤクザ。つまり裏の人間である。
そう考えると胸が締め付けられた。

喉も通らないというのはまさにこの事だ。
食べることなんて考えられやしない。

「…と、とりあえず…栢木さんの好きなところでいいっすよ…」
「栢木でいいよ。それに、なんで敬語?」

「…あー、か、栢木ィ?」
「はい?」

自分の父親が死んだ事を考えられなくなる程の、胸の痛み。心臓の音が倍速で聞こえては、火照る瞼を閉じた。