BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 【BL】居候が無駄に可愛い件について。 ( No.78 )
日時: 2015/04/26 23:26
名前: 優斗 (ID: ix3k25.E)

オヤジの残した蔵には、沢山の浮世絵と書物といい筆が残っていた。最近はその蔵を見るのが楽しみになっている。
キツネも毎日オレの隣で中の書物に目を通しては笑っている。この前、可愛いなんて言われてどのような表情をしていいのか分からなかったが、

「可愛いってえのは…いまのアンタみたいな感じなんだな。」

オレが口を滑らせて言ってしまうと、キツネは顔を真っ赤にした。

「えー、可愛いだなんて…」
「……………」
「……か……可愛い?」
「おう、食いたいぐらい。目に入れても痛くないくらい可愛い。」
「ハハ…」
「…今すぐにでも乱してオレのことしか考えられなくしたい……そしたらもっと可愛い。」
「ちょ——あなたも十分、恥ずかしい人ですよ…」

キツネは、背中を向けてまた書物に目を通す。

「いつも思うけど…痛かったら、嫌だったら言えよ。」
「大丈夫。1000年生きてて、こんなに愛せた人はいません。」
「…そっか。」

キツネはたまにおかしなことを言う。
オレが罪人の子供だとか、その罪を自分がかぶり永遠の命を失い、人間として生きていくことになったとか。

少し変わったやつなのかと、オレは思う。
だが…キツネ美しさは、本当に永遠の命を持っていたような美しさだ。
オレはキツネの白く、長い髪に触れるのが好きだ。そこに口を近付けるとキツネの顔が近くに感じられる。

「貴方のお父さんの御話は、貴方のお父さんが小さいときに書いた御話から知っていますよ。」
「…どんな奴だったの?オヤジは」
「貴方みたいな、素敵な方でしたよ」

目尻がキュッと細くなると、キツネは微笑む。今にも折れてしまいそうな、細く白い指をオレの顔へと這わせる。

「こんな所では、いけませんよ…」
「お前もする気満々だったような、」
「そんな気ありません…ッん…」

抵抗するにも抵抗しないのと同じ力でキツネはオレの頬を引っ張る。涙が落ちる長いまつげにオレはそっと触れた。

「いひゃいはなひてー」
「嫌ですッ、なんでいきなりそんなことを…ここから出てからなら……いつだって…するっていうのに…」

そう言ったキツネはオレを見る

今夜も月が綺麗だった…