BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 蜜は豊かに下がりゆく ( No.10 )
日時: 2015/01/12 15:13
名前: 壊れた硝子と人形劇 (ID: 0xGRiuWU)

「三井、帰ろ」
「うん」
最近、僕たちは三人で登下校することが多くなった。どういう経緯だかは分からないけれど、下北と豊川の、ささくれだった雰囲気がなくなったことは分かる。
学校を出て、ミニストップが見えてきたあたりで、下北が突如言った。
「三井、豊川のこと、好きか」
「うん」
「俺も」
突然のことだったから、反射的に肯定した上、自分が何を言われて何を言ったのかが分からなかった。ようやく理解した頃、焦って豊川を見たら、冷や汗を垂らしながら赤面してた。
「あっ、えっと、豊川…」
フォローの言葉がでない。
「豊川は、三井のこと好きだろ?」
豊川は下北を見て、小さく頷いた。僕は二人に挟まれておろおろと成り行きを見ていた。
「豊川が俺のこと好きになったら、三井と付き合ってもいいから俺とも付き合ってほしい」
「はッ…?」
下北の言うことはむちゃくちゃだったけど、僕は心底賛成したかった。僕も豊川の好意を、一度は否定したけどやはり気持ちがいいものだと思う。
「三井も、そう思うだろ」
突然こっちに振られて、一瞬の躊躇いののち、僕はこくこくと頷いた。そしてちらりと豊川を見ると、豊川はすごく困った顔だった。
「前、お前のことは好きになれないって言ったじゃん」
「お前の泣き顔見てぶち犯したくなった」
「死ねっ、変態」
「じゃあ三井だけでもいいから付き合え」
僕はとりあえず二人のなすがままにすることに決めておいたので、下北の言うことにも従っておいた。
「三井と付き合うか、二人と付き合うか、どっちかしかない」
「お前本当に自己中だな」
「どっち」
「…」
豊川はため息をついて、苦笑した。
「いいよ、もう付き合ってやるよ。一応頑張ってみるけどよ。うまくいかなくても知らねーかんな」
「やった」
事は上手く運んだらしい。台風前のあの日から、いつの間にか木枯らしが吹き付け、弱まって、今はもう爆弾低気圧がしんしんと雪を積もらす。2学期が終わり、もうじき僕たちの苦しい時期が来る。でも、僕たちの関係はまだ始まったばっかり、かもしれない。これからどうなるんだろうね、と二人に問いたかったが、二人とも、どうも神妙な面持ちをしていたのでやめた。