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BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 【異常性癖・ヤンデレ】恋の色。【その他BL】 ( No.621 )
- 日時: 2015/09/22 16:30
- 名前: Re:rate (ID: UcGDDbHP)
- プロフ: http://s.ameblo.jp/zjrc35a8kz/entry-12069762247.html
二話。
「サイトウ…アキ…?女みてぇな名前だな」
近くに置いていた秋のスケッチブックに書いてあった名前を読んだのか、ふとそんな事を口にする。
写真部なのにスケッチブックなんて可笑しいと思うかもしれないが、美術の授業の一環だ。好きな風景を描くなんて骨の折れる課題を、秋は屋上でやろうとしていた。
絵が特別得意という訳ではないが、中学の頃の美術の成績はほぼ満点。美術部にも勧誘されたが、絵を描くのが好きという訳でも、何に魅了された訳でもない為入らなかったのだ。
「いや、シュウだよ。サイトウシュウ」
彼の言った自分の名前に対して訂正すると、申し訳なさそうに苦笑いして、シュウな、とそれを復唱した。
「あんたこそ…名前なんて言うんだよ」
此方も呼び方に困る為、名前を訊く。だがそんな物は建前にしかならなく、秋はただもっと相手の事を知りたかっただけだった。
「俺?…アケチラク、三年!」
そういって笑う相手。漢字では"明智樂"と書くらしい。
意外にも先輩だった樂に、今までの態度を考えて少し申し訳なくなる。
「先輩でしたか…すみません」
咄嗟にそう言って謝ると、相手はにこりと笑う。
その様子に、秋の胸は高鳴った。顔が熱い。
何故この笑顔にこんなに惹かれるのか。
部長と似ていたからか?
いや、違う。
それ程に、この人の笑顔は美しかったからだ。
誰にも真似の出来ない、誰のものとも比べられない程にきらきらとして明るく見えた。
正直、この気持ちにこういう呼び名を付けて良いのかは分からない。このような感覚は初めてだったから。
だが、これが本当なら
秋は今、確かに"恋"をした。
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