BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 【異常性癖・ヤンデレ】恋の色。【その他BL】 ( No.623 )
- 日時: 2015/09/22 16:56
- 名前: Re:rate (ID: UcGDDbHP)
- プロフ: http://s.ameblo.jp/zjrc35a8kz/entry-12069762247.html
最終話。一応言うと、赤澤も男。
「明智先輩、幽霊だったんだな」
全てを知った秋は、樂に話を持ちかける。
何故いつも夏服だったのか?真夏日に死んだ幽霊だったからだ。
冷たかった肌にも、今は何の疑問も持たない。
「あぁ…うん。まぁ…」
苦笑いを浮かべながらぽつぽつと話し出す樂。秋はそれをただ黙って聞いていた。
「まだ赤澤は写真部に居るよな?俺、好きだったんだ。
だけどさ、赤澤君に好きな人が居るって聞いて辛くなった。
告る前にフラれたんだよ、俺」
次第に樂の表情が曇っていく。秋は樂の手を握り、続けるように促した。
「ん…有難う。
まぁ、赤澤がノーマルなのは知ってたし、それは別に良いんだけどさ?
その内、友達だと思っていた奴には俺が男好きだとかバラされて…虐め、っつーのかな…嫌がらせとか色々受けてさ。
でも、死ぬ…飛び降りるつもりはなかったんだぜ?馬鹿らしくなって戻ろうとした時に足を滑らせただけで」
「そうだったんですか…」
「ん。それでさ?落ちる時って全部が凄くゆっくりに見えるんだ。
あぁ、死ぬんだな…とかそんな実感が湧くだけで、死にたくないとかは不思議と思わなかった。
なのに俺、もう二年間もずっと此処に囚われてる…赤澤が最後に撮ってくれた写真、ずっと思い出せなくてさ」
「それって…これの事ですか」
そう言った直後、秋は懐から一枚の写真を取り出した。
赤澤が撮ってくれたという、二年間も樂を縛り続けていたあの写真を。
「…ッ…これ…って…」
樂の目から、涙が溢れる。
「これ、明智先輩ですよね?赤澤先輩が撮った写真ってこれの事じゃないんですか?…あんたは笑顔の方が良い。それじゃないと、赤澤先輩に示しがつかないでしょう」
全てを思い出したように、涙を溢しながらも笑う樂。
あぁ、これだ。そう秋は思った。
秋はやはり、この人の笑顔が好きなのだ。
「ぅん…そうだなッ…有難う、秋…
そ、そうだ…!鉛筆、貸せよ…!」
何をするのかと疑問を抱きながらも鉛筆を渡すと、何やら壁の一角に書き込んでいる様子。
それを覗き込むが、見ては駄目だという合図をされる。
書き終わったらしく、鉛筆を返される。
すると、樂の身体が足の方から順に上に向かって消えてきている。
「何だこれ…幽霊の成仏ってやつか…?」
本人すらも驚いた様子だが、すぐに此方を向き直して軽く咳払いをする。
「ぇと…ちょっとの間だったけど有難う。凄く楽しかった…ッ…!!」
そう言ってまた、泣きながら笑う。
すうっと消えていく相手に、秋は特別何をしようなどとは考えなかった。
ただやっぱりあの笑顔が忘れられなくて、その場に立ち竦んだ。
ふと鉛筆で何かを書いていたのを思い出してその一角に向かうと、其処には文字が書いてあった。
「はッ…此処まで本気にさせといて…何が幽霊だよ…ッ…」
思わず涙が溢れる。
その文字…言葉を、自分の中でしっかりと受け止める。
『最後にお前に出逢えて良かった
本当に有難うな、秋
バイバイ』
少し肌寒い秋の空気に包まれた今日。
秋は
初めての失恋を経験した。