BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 超絶純情物語(初投稿です! ( No.2 )
日時: 2015/01/13 00:19
名前: 音宮 (ID: Jc47MYOM)

【俺は、はーふだからなっ】

「やっとついたぜ!」

季節は、ポカポカと暖かい風がなびくのが、気持ちー……ちがう。

「くっしゅんっ!」
ちくしょう。日本に着いて速攻このくしゃみかよ。
かんべんしてくれ。
実は、俺、海外で有名な香水会社の次男、遠山煌なのだが、それが、花粉症って……かっこ悪。
坊っちゃんの癖に。
しかも金髪のマリンブルーの瞳といういかにも外国人面している奴が!

「づいてねぇー」

じゅるじゅると鼻をすすりながら空港から出る。

「おーい!あきらー!!」

向こうから走って来たのは、俺の幼馴染み兼親友の緑川穏彦。

「やすひこ!?」

別れる前は、俺と同じくらいの背格好だったはずなのに、めっちゃくちゃでかくなってる。
「でか!」
下から上まで見て口から自然に出てきた言葉。
「あー。あれから10年経つからしょうがない。煌は全然だな」

「な……っ」
親友からそのような言葉を聞くとはっ。
おおおおお、俺だって10年で8cmのびたもん。
「お、お前が、伸びすぎなんだよ!」

そうだよ。俺は普通だ、普通。

「そうなのか?」
「おう」

んーと首をかしげながらいろいろ考えている穏彦を無視して歩き出す。
「お、おい。待てって」
追いかけてくる。その時にさりげなくボストンバックをとられ、俺は手ぶらになってしまう。
「何でついてくんだよ」
横目で彼を見ながら聞く。
「それは、煌の10年ぶりの帰国を親友の俺が迎えに来た。それだけで充分だろ?その問にはさ」
自信たっぷりに言う。その顔が憎たらしい。
つまり、迎えにきたんだから家まで送るのが俺の仕事とでも言いたいのだろう。
「あっそ」
そっけなく答える俺だけれども
本当はすごく嬉しいんだ。
久しぶりに友人に会えて、こうして素直に慣れない自分も。
こうしていられるのが、あの過酷な英才教育から抜け出せたことを意味しているようで。
「やっぱり煌、小さい」
ボソッと彼がその禁句を呟いたのを、
俺は聞き逃さなかった。
「なぁんだとっ!俺は、普通だ」

Re: 超絶純情物語(初投稿です! ( No.3 )
日時: 2015/01/13 11:23
名前: 音宮 (ID: Jc47MYOM)


「そういえば、明日からだよな、高校?」
穏彦の右隣を歩く。
「ああ。俺たちもやっと高校生だな」
そうなのだ。
俺はそのために帰国した。
英才教育を無事に終えたら華やかな高校生活を日本で送ることが俺の夢。
やっとやっと、叶えられるんだ!
憧れていた独り暮らし、彼女を作って
えんじょいハイスクールライフ!
くー、楽しみだぜ。
もう通う高校には、母さん達が手続きを済ませているし、明日からちゃんと高校生なんだ!
「ははは。えんじょいハイスクールライフー!」
ふふふとリズムに合わせて言う。
「気持ち悪いぞ」
じろりと変態を見るような目で見てくる。
「うっ」
と共にその言葉もグサッと俺の心に刺さる。胸を押さえるような動作をする。
グッと目に力を入れて睨む。
「俺は率直な意見を言ったまで」
ふんっと言うように顔をそらす。
クソ、やっぱりコイツ、かなりムカつく。
ちくしょう、覚えてろよ。
親友の恨みというのは怖いんだぜ。
べーと奴に向かってする。
それが俺ができる唯一の反抗というのは、言わないでおこう。

Re: 超絶純情物語(初投稿です! ( No.4 )
日時: 2015/01/14 00:10
名前: 音宮 (ID: Jc47MYOM)

「あ、ここか」
右ポケットから地図を出してそれを見ながら目の前にある高層マンションをもう一度見た。
「相変わらずだな」
ボソッと一言。
「何が?」
ちらっと穏彦を見て言う。
「煌の家が金持ちのことだ。このマンション、ここら辺で一番高いんだぜ?」
そ、そうなのか……
全然、知らなかった。
改めて見ると、確かに高級そうだ。
家賃はどれくらいだろうか。
いや。もはや、このマンション、俺ん家のものかも。
父さん、めんどくさがりや屋だからな。手続きとかめんどいとか言っちゃって買っていることだろう。
あとで母さん達にお礼言っておかなきゃ。
「えっと……中に入ろうか」
ぼーとマンションを見上げて立ち尽くしている彼に言う。
「すまん。行こう」
すたすたと俺たちは俺の新住居に入っていった。
「ここが俺の部屋かー」
自分の部屋に行くと、そこは独り暮らしにはもったいないほどの広さだった。
「すげぇ」
穏彦はただそれだけをいっただけで立ち尽くしている。
そんな時、スマホがなる。
「ん……?誰からだろう?」
画面を見る。
父さんからだ。
「煌か?」
渋い声が聞こえてくる。
「父さん、マンション、ありがとうございます!」
「あはは、気に入ったか。それは良かった」
「うん。あと、学校のことも」
「あー。その話なんだが……」
そのあと、俺はとんでもないことを知るのだった。

「えっ!!マジ?」
「マジな話だ。煌、すまないが、君は

      男子校に通ってもらう」

はああああ?なんでそうなんだよっ!?
くそじじぃー!!と本当は叫びたい。
だけど、言えないのが、この俺。
臆病で意地っ張りな俺は、今日、人生最悪な場所へと踏み出すのである。
昨日、ありがとうと父さん達に言ったことは、なかったことにしようじゃないか。