BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 超絶純情物語(初投稿です! ( No.5 )
日時: 2015/01/17 23:29
名前: 音宮 (ID: Jc47MYOM)

[一歩、前に踏み出せば]

ついでに言うと、母さんの計らいでというよりも謝罪の意味だと思う。
でも、俺の唯一の親友だからという理由だけで、本人の断りも無しに、穏彦も突然、俺と一緒に転校という可哀想な事になってしまった。

「すまん、穏彦」
入学式真っ最中の今。
俺は、昨日のムカつく事を思い出して腹をたてている。
と当時に、それに穏彦まで巻き込んでしまったことを悔やんでいた。
「大丈夫だ、俺は。だからそんな顔をすんな」
綺麗な姿勢で前を向き、口だけ動く。
そんな姿に同じ年齢だということを一瞬、忘れて見いってしまった。
「わ、わかった」
だからちょっと返事が遅れてしまった。
『生徒会長から後輩に向けて。生徒会長、お願いします』

アナウンスが物静かな空間に綺麗に響く。
『はい』と声が聞こえたかと思うと、
生徒会長らしき長身の男が壇上に上がる。
生徒会長ねー。どんな奴か、見ておいても損はないだろう。
ええと……。
首をまず伸ばして、姿勢をピンと正し、人と人の狭い隙間からやっとのことで見えてきた。
お、あいつか。
ペラペラと話す奴。ライムグリーンの透き通るような瞳でコバルトブルーのやけにさらさらとした髪、逆三角形の輪郭……って顔立ちヤバい。
ここからだからまだ見れるけど近くで見たら相当な威力を発揮するな、あれ。あれって殺人器として扱われるのだろうか。あんなので殺されたらたまんねー。後ろの方で良かったと改めて思った。ちなみに後から聞いた噂によると、前方は全て血の海だったらしい。もちろん、失神者多数。
その噂の生徒会長の話以降、俺の興味は薄れ、意識がだんだんなくなっていった。


「おい、煌」
ゆさゆさと揺さぶられる。
「んぅ……やす………ひこ?」
どうやら寝てしまったようだ。
もうだるかった入学式も終わってる。

「ああ、俺だ。ほら、帰るぞ」
目を擦りながら頷く。
それを合図に穏彦は俺の手首を引っ張って歩き出した。
穏彦は、俺が寝ていたことに怒らず、
心配してくれた。
また眠たくなってふらふらした足取りになってきた俺をおぶってくれた。
俺は安心してその大きな背中に全身を預け、黒髪のさらさらした彼の頭に頬を近づけ、深い眠りへと向かっていったのだ。