BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: デュラララ!! BL小説!?【亀だけどリク募集】 ( No.110 )
日時: 2016/01/26 16:52
名前: 夢埜 ◆okR9D5EASs (ID: hVBIzJAn)

最低で最悪な 三日目 Ⅴ

 臨也が車から降りてそこまで時間がたっていなかったように思う。たぶん、10分かそこらだったのではないだろうか。あいつはどこかを探しているようで、何度か似たような雰囲気の路地をのぞき込んでは戻ってくる、という行動を繰り返していた。そしてまた同じような、人が寄り付きそうにない路地に入った時、ひそひそと話す男の声が聞こえた。
「やっべ、ついてんじゃん」「ちょうどよくね?」「さらっちまえよ」
 攫う、という物騒な単語に、思わず眉をひそめる。今は猫の姿をしているため、いま自分がどんな表情をしているのかは分からないが、どうにも気に入らない。あいつが妙な笑みを小さく浮かべて戻ってきたとき、その声があいつを呼び止めた。
「折原臨也さんだよねぇ?」
「ちょっと俺らに付き合ってほしいんだけど」
 相手を威圧しようとする態度の男たちに臨也はうなずく。そして数人の男に囲まれるようにして路地の奥へと入っていった。
 あいつはこれを探していたのか? あいつのことだ、こういうやつらがいるところくらい把握しているはずだ。何の目的もなくついていくようなことはしない。何か目的があって、こいつらを探していたってことか……? もしそうなら、特に危険はないだろう。もしかしたら、いつものように人間観察をするつもりでついていったのかもしれない。ばからしい。
 『さらっちまえよ』
 先ほどの男の声が頭の中で響いた。嫌な感じで心の中がざわつきだす。
 臨也が、攫われる。自業自得だろうが、あいつらがいったい何をする気なのかわからない。このまま放っておいては危険なのではないか、という思いが頭をかすめ、居ても立っても居られなくなる。
 取り返しのつかないことになるかもしれない——いつの間にか、俺の中に焦りが生まれていた。