BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: デュラララ!! シズイザ小説!?【BL】 ( No.90 )
日時: 2015/07/18 14:02
名前: 夢埜 ◆okR9D5EASs (ID: hVBIzJAn)

最低で最悪な 一日目 Ⅲ

「ここらへんでいいかな」
 あれからしばらく走って、前を行っていた臨也がようやく立ち止まった。たどり着いた場所は——人のただ一人もいない、薄暗い路地裏だった。こういったところには、不良だなんだとあまり良くない連中がいたりするものだが、それらしい影は見えない。こいつのことだ、そういう場所も抑えてあるのだろう。
「てめえ、わざわざこんにゃところまで来て、にゃにする気だ」
 普段なら、街中だろうと構わずナイフを振り回すくせに、取り出す気配すら見せない臨也を訝しんで、俺はそいつに向かって問い掛ける。言葉はもう気にしないことにした。
「別に、俺はこれといって用があるわけでは無いんだけれどね。君が、知りたい事があるんじゃないかと思ってさ」
 その言葉に若干の違和感を感じた。しかし俺は、それが何なのか分からなかった。
「・・・・・・お前は、それが分かるって言うのかよ」
「俺は情報屋だよ? たとえ今俺がその答えを知らないとしても、大抵のことなら調べられる。俺だって、それなりの情報網は持ってるからね」
 奴の飄々とした返しに怒りが膨れ上がったが、自分で自分を押さえ込んだ。臨也はイラつくが、せっかくの解決への糸口を失うわけにはいかない。
「それで、君の知りたいことはなんだい? ——その、急におかしくなってしまった、自分のことかい?」
「・・・・・・っっ!」
 自分の身体が、一瞬にして強張ったのが分かった。臨也はそれを見て満足そうに目を細めると、一歩、俺に近づいた。
「そうだよねえ、あのシズちゃんが『にゃ』なんて、普通じゃ有り得ない」
 一歩。
「何か変化があったとしか——そう、例えば特殊な薬とか」
 一歩。
「本当にそんなものがあるとして、俺はそういう専門知識は無いから、詳しいことは分からないけれど——」
 また、一歩。

「俺は、その答えを知ってるよ」

「・・・・・・臨也・・・・・・?」
 すぐ近く、それこそ手をのばさなくても触れられそうな距離に、何かを企んでいるかのような笑みが見えた。
「明日からの四日間——俺のところへおいでよ。
 そうしたら、全てを教えてあげよう」
 そう言って、臨也はついに俺の横を通り過ぎ——次に振り向いた時には、もうその姿を見ることはできなかった。