BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 生意気な後輩に恋をする(リメイク) ( No.12 )
- 日時: 2015/03/19 22:42
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
結局、清水はこの日、俺の前に姿を現さなかった。
あいつが言ったことは嘘だったのだろうかと思い、失意の中で家に帰る。夕飯を食べ、部屋に入りゲームをしていると、清水から電話の着信がきた。
あの野郎、俺を騙しやがって!
自分の瞳に炎が湧きおこるのを感じつつ、怒りに任せて携帯を取った。
「先輩、僕のステージ見てくれましたか」
電話越しの彼の声は生意気さを含みつつもどこか疲れの色が出ているかのように感じられた。だが、俺はこのとき自分の中に蓄積されていた感情を優先した。
「清水、ステージを見に行ったがお前どこにも出ていなかったじゃねぇか!!」
けれど俺の怒声を聞いても相手は対して動揺することもなく、冷静に告げた。
「出ていましたよ。先輩、気づかなかったんすか」
「どこに出演していたんだよ、お前の姿はステージのどこにもなかったぞ」
「当たり前ですよ。僕は女装していたんですから」
「女装!?」
その一言で思い浮かんだのは、会場を席巻していた美少女アイドルの姿だった。
「まさか、お前がハニーちゃんだったっていうんじゃねぇだろうな……?」
「今頃気づいたんですか? そうですよ。ハニーちゃんは僕の女装したときの姿です」
女装。彼の口から放たれたその言葉の衝撃たるや表現できないほどだ。
なせならば、俺は今まで女装した男などというのは本物の女の可愛さに比べれば劣るだろうと感じていた。だが、ハニーちゃんはどうだろうか。あの可愛らしいさは俺のクラスにいる女子達を凌駕していた。
けれど、清水は若干可愛らしいとはいえ、男である。
それがどうしてあんな風な美少女に変身できるだろうか。
そんな疑念を抱いていると、俺の考えを読んだかのように清水が言った。
「男でもちゃんと化粧をして可愛い服に身を包めば、可愛くなることができるんすよ」
「そういうものなのか……」
「そういうものです。ああ——そうだ先輩」
「なんだ」
「明日一緒に映画見に行きません?」