BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 生意気な後輩に恋をする(リメイク) ( No.13 )
- 日時: 2015/03/19 22:51
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
これまで、人に映画に誘われたことなどあっただろうか。
横になり、今までの過去を振り返るが、そんな経験は一度もなかった。
そもそも、俺は学校で友達というものがひとりもいないのだから、当たり前だ。小学校も高学年になると友達と映画館に行くということもし始めるのだろうが、俺には無縁の世界だった。家にテレビがないため、友人との話題についていけなかったのを思い出す。
テレビは今はあるにはあるのだが、あまり見ようとは思わない。
幼少期から見ない生活を送っていると、自然とそんな風になるのだろうか。漫画は読んだが、父が勧める20年、30年前の漫画ばかり読んでいたため、流行に乗り遅れて行った。それはそれで楽しかったが、話が合わないのは辛い思いをした。俺の友達ができない原因のひとつは、どれをとっても時代遅れだからだ。けれどそんな流行に乗り遅れた人間である俺に対し、清水は奇異な目で見ることはなく、ごく自然な口調で映画に誘ってくれた。最も、それは俺があいつが通う中学のOBだからなのか、それとも歳の離れた友人だと思っているのか、あるいは——
いや、行く前からあれこれ詮索するのはやめよう。
そんなことをしても、せっかくの楽しい空気に水を差すだけだ。
彼は俺になんの映画を見るか告げずに電話を切った。
それは恐らく、現地で決めるということなのだろう。
親父が聞いたら「計画性がない」などと言うかもしれないが、その方が逆に面白味を増す結果になるかもしれないし、俺の見たい映画の好みも判別することができるという彼なりの考えに基づいたものなのだろう。
明日は今日と違ってそれほど早起きする必要もないため、目覚ましも普通の時刻にセットした。ちなみに、俺はいつも目覚ましより10分早く目が覚めるのだが、明日はどうなるかわからない。備えあれば患いなしという諺もあるし、この判断は正解だろう。
「そろそろ寝るか」
電気を消し布団を被り、清水が明日どんな恰好をしてくるのか思案していると、いつの間にか瞼が重くなっていた。