BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 生意気な後輩に恋をする(リメイク) ( No.15 )
- 日時: 2016/01/10 04:38
- 名前: モンブラン博士 (ID: akJ4B8EN)
俺は今、最大の葛藤を迎えている。
それは、映画の最中にトイレがしたいなどというありふれたものではなかった。
その葛藤の内容とは——隣に座っている清水の頬にキスがしたい。
映画が始まってしばらくの間は、俺も彼と同じように映画に集中していた。だが、映画を見慣れていないため、その時間が段々退屈になってきた。上映されている映画がマイナーなこともあり、視聴に飽きてきたのだ。そのつまらなさを克服するために、目を閉じたり天井を見上げたりしていたが大した効果はなかった。そして次第に、俺の関心は映画よりも隣に座っている友人(?)に向けられていった。館内が暗いこともあってか、白い清水の顔がより白く見え、普段よりも色気が増しているように感じられる。さらには、どういう訳かこの回見る人が余程いなかったらしく、劇場には俺達ふたりだけしかいない、つまり、貸し切り同然と言っても過言ではない状態だった。
好きな奴とふたりきりで、隣同士で並んで映画を見る。こんな経験は俗にいうリア充でも滅多に経験できるものではないだろう。
ん? まさか清水はそれを見越してワザとこの映画館に俺を誘ったというのか!?
だとしたら、策士すぎる!
けれど、それはあくまで仮定の話であり、彼がこうなるように仕向けたという証拠にはならない。偶然が偶然を呼び、こんな風になってしまっただけということもありえる。いや、そんなことなどどうでもいい。
今は、俺の体から溢れる欲求にどう対応すべきかの方が遥かに問題のはずだ。清水は仮にも男、男なのだ。
それを同性である俺が恋愛に近い好意を抱き、キスまでしてしまったら、それこそ俺はホモということになってしまう。そうなってしまえば、今まで築きあげてきた彼との良好な関係は一瞬にして崩れさり、絶交されてしまうだろう。それだけはご免だ。
確かに俺は彼に対し、少なからず好きだという感情を持っている。
だが、それは友情と同義であり、恋愛ではない。
清水の声の美しさは表現できるものではないが、たったそれだけの理由——いや、確かにコイツは顔もそこそこ可愛いし、気遣いや優しさを見せてくれるかもしれないが——とにかく同性である以上好きになってはいけない相手なのだ。
拳を握りしめ、感情を押し殺す。
映画に集中しようとするが、自然と視線は彼の方を向いてしまう。
くそっ、俺は一体どうすればいいんだ!!