BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 生意気な後輩に恋をする(リメイク) ( No.16 )
日時: 2015/03/21 10:00
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

ダメだ。どうしても我慢できない。
すると、俺の心の中の天使と悪魔が現れた。
まず最初に、天使が俺に言った。

(出雲、キスはやめろ。好きかどうかもわからない奴、それも同性から突然キスされたらお前ならどう思う!?)

俺ならば、確実にドン引きするだろう。
天使の意見は的を射ている。コイツの言う通りにした方がいいだろう。
すると、悪魔が俺の耳元で囁いた。

(天使の戯言に耳を貸して、せっかくのチャンスを棒に振るんですか? ふたりきりの映画館で好きな人にキスをする。それはリア充でもまず不可能な話です。ですがあなたは幸運にもそのチャンスに恵まれた。これを逃さない手はないでしょう?)

天使の意見に従うべきかと考えたが、言われてみればこんなチャンスはもう二度とないだろう。隣の清水は映画に集中して気づいていない、まさに絶好の好機だ!
だが、もし彼がキスする瞬間に振り向いたらどうする。
そのときは言い逃れはできないだろう。

(そうだ。だからバカな真似はやめるんだ。男ならそんな卑怯な真似はしちゃいけない!)

卑怯。そうだ、確かに卑怯だ。告白もせず、キスだけするなんて男として恥ずべき行為なのではないだろうか。天使の言葉に己の卑怯さに気が付くことができた。
これで悪魔の誘惑を——

(清水くんがあなたの方を向いたら、唇にキスできるんじゃないですかねぇ?)

唇にキス。そんな発想を考えたこともなかった。
言われてみればその通り、振りむいた瞬間に不意打ちで唇を奪える可能性は十分にある。清水の唇にキス。唇に……想像しただけで息が荒くなるのがわかる。

(出雲、お前は一瞬の自分だけの快楽のために、清水の気持ちを台無しにするつもりか!)

(さぁ出雲さん、彼の唇を奪うなら今です。そのキスがもしかすると彼との距離をさらに縮めるかもしれませんよ?)

(お前がもし本当に彼を愛しているのなら、己の欲望を封じるはずだ)

(天使のくだらない説教に耳を貸す必要はありません。あなたはただ欲望のままに従えばいいのです)

そして、ふたりは心の中から消えた。
彼らの意見を聞き、自分なりの答えを見つけた。
清水の肩を叩き、彼をこちら側に振り向かせる。

「清水」

「どうかしたんすか」

「ごめん」

「えっ——」

俺はいきなり彼のうなじに触れて彼の顔を引き寄せ——彼の唇と自分の唇を重ね合わせた。