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BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 生意気な後輩に恋をする(リメイク) ( No.17 )
- 日時: 2015/03/21 17:35
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
いつだったか、聞いたことがある。
恋人にした初めてのキスは甘い味がした——と。
最も、それは初めてだけとは限らないが。
だが、俺の場合、それは違っていた。
清水の唇に触れた瞬間分かったのは、ほろ苦いコーヒーの味だった。
どうしてそんな味がしたのだろうか。
答えは簡単だ、彼が俺とキスするより前にコーヒーを飲んでいたからである。唇と唇が重なり合ったその刹那、俺の中で劇場全体の時が止まったかのように感じられた。彼の口は男にしては少し柔らかいなと思ったものの、それでも男らしく堅かった。
清水は女ではなく男。
その事実を再確認すると同時にハッと我に返る。
俺は、なんということをしてしまったのだろうか。
映画に集中している彼の肩を叩き、振りむいた隙を狙ってキスをした。
俺はなんて卑怯者なんだ。
相手は好きかどうかもわからないのに強引に唇だけ奪うだなんて、最低の男だ。悪魔の誘惑に騙され、人としての道を踏み外してしまった俺は、彼に嫌われても仕方がない。飛んでくるであろう彼の平手打ちに恐怖するあまり、思わず両目をぎゅっと瞑った。だが、いつまで経ってもビンタが放たれる気配がないため、恐る恐るながらも目を見開くと、そこには先ほどと同じく何事もなかったかのように、映画を鑑賞している彼の姿があった。
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