BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 生意気な後輩に恋をする(リメイク) ( No.21 )
- 日時: 2015/03/22 18:54
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
それが、俺と先輩の出会いだった。
この日以来彼と意気投合し、歳は離れているけれど、友達のような間柄になった。
けれど、初めて会ってから一週間が経過した日曜日のこと、映画館の中で先輩に唇を奪われてしまった。別に男に唇を奪われたぐらいで怒るような真似はしないが、そのキスで先輩が俺に好意を持っていることが確定的になった。実は、初めて出会ったときから、そのような感情を彼が抱いているという疑念は常に持っていたものの、あからさまにつきつけられるとさすがにショックを受けてしまった。
俺としては、先輩とこれからも仲良くしていきたい。
しかし、彼は友達としてではなく、明確に恋人として付き合うことを望んでいる。
初対面してからまだ1週間しか経っていないため、常識から言えばあまりにも告白するのが早すぎるのではないかと責められてもおかしくはないが、俺の中では彼と過ごした7日間は半年にも相当するのではないかと思っている。
だが、そうだとしても、今この場で付き合いを承諾するのはあまりにも軽率だ。もしも、本当に俺が先輩のことを思っているのならば、ここは冷たく突き放し、もう少し時間をおいて思いを再確認した方が互いのためになると考え、彼の告白を冷淡に振った。
それから4か月が経ち、今は8月だ。
互いのことも前よりずっとわかりかけてきたし、友達としての親密さも増したと思う。だけど、まだ互いに全部を知りえているわけじゃない。
俺はまだ、先輩に隠している秘密がある。
それを明かしても、彼は俺のことを好きでいてくれるだろうか。
これは、賭けだ。
自分の最大のコンプレックスを晒す、大きな賭けになる。
けれど、実をいうと4か月以上も行動を共にしているうちに、俺も少しずつ彼のことが好きになっていた。
彼ならば、自分の弱みを見せてもいいかもしれない。
それで嫌いになられたら、それはそれで仕方がないと諦めもつく。
それほど俺のコンプレックスは大きなものなのだから。
俺は、深呼吸をひとつし、緊張と不安で震える手で彼の携帯に電話をかけ、平常心を保った声で言った。
「先輩、夏ですし、海水浴にでも行きません?」