BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 生意気な後輩に恋をする(リメイク) ( No.28 )
日時: 2016/08/10 09:40
名前: モンブラン博士 (ID: CMSJHimU)

俺は師匠である、正義さんの条件を飲んで彼の経営するジムで彼とリングの上で闘うことになった。ちなみに、服は着たままで闘う。
出ベソを見られたら恥ずかしくてとても闘う気が起きないからだ。
相手と俺の身長差は軽く見積もっても30センチ以上はある。体重差はそれ以上だ。経験もパワーも技術も圧倒的に相手が有利なことは間違いない。けれど、この勝負は逃げてはいけない。そんなことをしたら最後、もう二度と先輩と付き合えなくなるかもしれないからだ。
いつもとは違う緊張が漂う中、見物客は先輩ひとりだけの真剣勝負が始まった。師匠は1歩1歩ゆっくりとマットを踏みしめながら、まるでゾウのように接近してくる。彼の巨体の圧迫感は並のものではなく、彼と対峙しただけで、嫌でも自分の体格の小ささを実感させられる。

「清水、どうした。かかってこないのか?」

威圧感と貫禄十分な瞳で俺を見下す彼。その瞳はまさに、獲物を捕食しようとしているライオンの目つきそのものだ。恐怖に飲み込まれては、たちまち彼に倒されてしまう。洋服を付けたままでは動きづらいけど、この状態でどこまでやれるかやってみるしかないか。
小手調べにマットを蹴って宙に舞い、彼の顔面目がけてハイキックを放つ。しかし彼は俺の蹴りを片手で難なく受け止め、ロープに放り投げる。けれどそれは計算通り。
その勢いとロープの反動を利用して跳ね返り、彼の甲板に向かってミサイルヘッドパットを炸裂させる。この技は額が固くないと逆に自分がダメージを負ってしまう場合もあるが、相手が相手だけに消極的な戦法をとってはいけない。
けれど彼は涼しい顔で、素早く俺の人間魚雷を掴み、そのままパイルドライバーを敢行して脳天をマットへ激突させた。
視界が逆さまになり、衝撃で見ている景色がぼやけてくるが、ここで失神したら先輩に現れるだろう。激痛を耐えて起き上がり、パンチのラッシュを繰り出す。

「お前も愚かな男だ。この程度の拳がこの私に当たるとでも思っているとは……」

敵は連続して放つ拳を必要最低限の動きだけで捌きつつ、徐々に接近していく。そして俺の鳩尾に膝蹴りを打った。

「がはっ……」

かつての師匠は俺の両腕をチキンウィングに捉え脱出できないようにした上で、容赦なくニーキックを食らわせていく。しかも回数を増すごとに力は衰えるどころかますます威力があがっていく。

「清水—っ、もうやめろ、降参するんだ!」

先輩の叫ぶ声が聞こえる。
その声に負けないほど大きな声で俺は言い返えす。

「バカ言わないでくれないっすか、先輩。これぐらいで参ったしてたら、あんたと付き合えなくなるでしょーが!」