BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 生意気な後輩に恋をする(リメイク) ( No.29 )
- 日時: 2015/03/25 06:42
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
「そろそろ、反撃開始といきましょうか」
敵がかけているチキンウィングを持ち前の柔軟さで外し、間合いを取る。
「どうやら、今まで手を抜いて闘っていたようだな」
「そんな簡単に劣勢になるほど甘くはないっすよ」
「そうだったか?」
彼は俺にショルダータックルで突進していく。けれどそれを寸前で素早く避け、背後に回る。正義さんの右腕を掴み、アームブリーカーで痛めつける。間髪入れずにダブルニードロップで強襲して怯ませ、その隙を逃さずに押し倒すと、すぐさまサソリ固めで両足にダメージを与える。
体格と体重で劣る俺が彼に勝てる術があるとすれば、打撃に頼らず関節技で各部位を破壊し倒すしかない。幸いなことに、関節技というのは力がない場合でもテコの原理を利用しているために、相手にかけやすい上に完全に決まれば脱出するのが難しい。俺は彼から腹筋を鍛えずに強くなれる方法として習ったのが寝技と関節技だった。
相手の攻撃ペースが落ちてきたこともあり、勢いに乗ってきたため、そのまま彼に鍵固めをかけてギブアップを奪おうとする。だけど彼は右腕を極められているにも関わらず、全く動揺していない。
その能面と言っても謙遜がないほどのポーカーフェイスに、こっちが逆に戦慄し始めてきた。なぜならば普通鍵固めという技は一度極まったら最後、ある手を除いて絶対にはずすことができず、降参するしかないけれど、彼はこの状態で何をしようというのだろうか。
「この技を私にかけるとは、100年早い」
グイッとかけている腕に力が入ったかと思うと、キーロックに極められたまま俺を持ち上げた。それは、師匠の腕力が並大抵のものではないことを意味する。
「弱い!」
自分の倍は優にある掌が顔面に食い込んできた。顔全体が敵の凄まじい握力によってギリギリと締め付けられるのが分かる。
「グアッ……」
次第に痛みで意識が遠のき、両腕が離れ、鍵固めを外してしまう。
敵はそのまま顔を掴み、右腕から俺を引き剥がし、掌の力だけで俺の全体重を支える。
「お前の底力など、所詮こんなものでしかなかったということだ」
彼の抑揚のない冷静な声が、心に矢のように突き刺さった。