BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 生意気な後輩に恋をする(リメイク) ( No.3 )
- 日時: 2015/03/19 19:17
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
彼の言った言葉を理解するのに、数秒時間を要した。
すると彼は再度俺に言った。
「コーヒーの代金、僕が払ってあげるって言ったんです」
「えっ、なんで?」
俺の質問に彼は目をぱちくりとさせる。
その動作が、なんだかリスみたいで可愛らしく思えたのは、心の中にしまっておこう。二回瞬きをして、彼は再度口を開いた。
「なんでって、僕があんたに嫌な思いをさせたからに決まってるじゃないすか」
その物言いは、先ほどより丁寧さが抜けた少々生意気さを感じさせるものであった。恐らく、これが彼の本性なのだろう。けれど彼の放った言動の内容は「嫌な思いをさせた詫びがしたい」というなんとも優しさに溢れたものであった。
しかし、彼の好意に甘えてもいいのだろうか。
小遣いなら俺も持っている。
見ず知らずの彼に奢らせるなどという厚かましい真似ができる訳などない——
彼には気が引けるが、ここは素直に断った方がいいだろう。
だが、少年は俺が拒否するよりも早くレジに向かい、さっさと会計を済ませてしまった。名も知らぬ彼に奢られたまま別れるのは、己の正義に反する行いだと思い、店を出る彼を急いで引き止めた。
「待ってくれ!」
「どうかしましたか」
振り返らずに告げる彼。
「俺、あんたに嫌な気なんてひとつも抱いてねぇよ」
「そうですか、それはそれで嬉しいっスね」
彼は振り返るとやや小さな白い手で俺の手を掴んで降ろした。
「でも別に僕はそれほどまで気にしていませんから、あなたも気にしないでください」
「しかし、このままじゃ俺の気が済まねぇんだ。何か奢らせてくれねぇか?」
先ほどまで赤の他人であるという意識が働いていたのだが、奢られたことでそのダガが外れ、俺はある程度砕けた口調で話していた。
彼は顎に手を当てクスリと可愛らしく微笑み、
「そこまで言うのでしたら、そこの自動販売機でジュースでも奢ってくだされば満足です」