BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 生意気な後輩に恋をする(リメイク) ( No.9 )
日時: 2015/03/19 21:52
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

夜の8時のことだった。
夕飯を食べ、自室で漫画を読んでいると、メールが来た。
送り主は清水だった。
まさかメールのアドレスを教えてからその日から送られてくるとは思わなかったために、少なからず驚いてしまった。だが、肝心なのは送られてきたことよりも中身だろう。
一体どんなことが書かれているのかと、メールを開けようとした。
けれど、指先が震え、なかなか行動に移すことができない。
ボタンひとつ押せば済むはずの動作であるはずなのに、緊張と不安からかたったそれだけのことができない。だが、迷っていても無駄な時間を浪費するだけはないかという考えにいたり、彼の書いたメールの中身を読んでみる。

『出雲先輩へ もしよかったら明日から途中まで僕と一緒に登校しませんか?』

2行あるかないかの短い文章。それも疑問文だ。けれど、その内容は、今まで訊いたどの言葉よりも嬉しいものだった。
あいつが、この俺と一緒に登校しようと言ってくれている。
昨日会ったばかりにも関わらず、まだ互いのことを深く知らない間柄であるにも関わらず、彼は俺と登校することを望んでいる。
中学まで、俺はいつもひとりで登下校していた。友達がひとりもいなかったため、それが当たり前だった。けれど心の中では、誰かと帰りたいという思いが常にあった。
でも、勇気もなく話題もなかったため、半ばあきらめかけていたのだが、ここにきて、初めて他人と一緒に登校できるチャンスに恵まれたのだ。他の男子からしてみれば、友人と帰るなど当たり前の出来事なのかもしれないが、俺にとってこの誘いは、まさに奇跡と言っても過言ではないほどの嬉しい誘いだった。信じられなかったので、そのたった2行程度の文を何度も何度も読み返す。
もしかすると冗談かもしれないと、疑いかけたが、会って間もない男に冗談をメールで送信し何の得があるというのだろうか。
清水からメールが投稿されて20分以上が既に経過していたが、取りあえず俺は彼の願ってもない誘いをOKするという主旨のメールを送信し、風呂に入って歯を磨いて寝床についた。