まるで【上の世界】をそのまま灰色の絵の具の中に閉じ込めた世界は、最後に訪れたのはいつだっただろうか。モザイクとしておいた大きくて古い樽に少し指を滑らせてそんな事を思った。…埃を被っている。それほどには時が経っていたらしい。指先に付着したそれを軽く息を吹きかけ飛ばした。汚いそれを、今から動かさなくてはいけないのを考えて、溜息を吐いた。