BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 【ハイキュー!!】頂の景色を夢見て【BL短編集!】 ( No.25 )
日時: 2015/06/13 12:16
名前: レム* (ID: sSv6cHIH)
プロフ: 葦月にドハマりしました!!(

『シンデレラ』episode1



シンデレラ→月島蛍

王子様→赤葦京治

意地悪な義父→黒尾鉄朗

意地悪な兄1→影山飛雄

意地悪(?)な兄2→山口忠

魔法使い→菅原孝支

王妃→谷地仁花

国王→澤村大地



 とある国に、月島蛍という、それは美しい男の子がいました。


 ——僕の父はが小さい頃に病気で亡くなり、その後母親は黒尾鉄朗という男性と再婚し、僕に影山飛雄、山口忠という2人の兄ができた。
 だが、僕は義父と2人の兄を受け入れることが出来なかった。

 母は仕事で長期出張となり、4人で暮らすことになった。
 それからの毎日は、僕にとって辛い日々だった。

「おい蛍、飯まだか?」
「……あぁ、ごめんなさい。すぐに作るので待っていて下さい」
「月島、カレーな」
「ツッキーのご飯楽しみだなぁ!!」

 母親が長期出張になってからは、家事は僕の仕事となった。
 少しは手伝うという気持ちはないものか。

「……蛍、何だ。これ」
「見て分からないんですか? ゆで卵に決まってるじゃないですか」
「昨日もゆで卵だっただろ」
「言ってませんでしたか? 僕、ゆで卵しか作れませんよ」
「マジかよ!?」
「カレーは?」
「う○い棒のカレー味」
「……う○い棒は好きだけどなぁ……」
「俺はツッキーの作った物なら何でも食べるよ!!」

 みんな、文句を言いながらも僕の作ったゆで卵を食べる。
 まぁ、文句を言うのは黒尾さんと影山なんだけどね……
 山口は初めて会った時は冷たかったけど、現在では何故かなつかれている。
 まぁ、しつこすぎてイラつくけど。

 この時の僕は母が早く出張から帰って来ることを願っていたが、運命の出会いがすぐに訪れることに、まだ気づいていなかった。

Re: 【ハイキュー!!】頂の景色を夢見て【BL短編集!】 ( No.26 )
日時: 2015/06/13 12:18
名前: レム* (ID: sSv6cHIH)
プロフ: 葦月にドハマりしました!!(

『シンデレラ』episode2



 朝食のゆで卵を作り、今から洗濯を始めまる。
 天気もいいし、夕方には洗濯も乾くだろう。
 そういえば、卵がお昼の分しかない。
 店に買いに行かないといけないな……

「ツッキー、どこか行くの?」
「夕食の卵がないから、買いに行ってくる」
「俺も一緒に行ってもいい? 荷物持ちするよ!!」
「……そう言ってくれるのは嬉しいけど、山口が一緒だとうるさいから留守番してて」
「ごめんツッキー!!」

 山口のことは放っておいて、買い物に出掛ける。
 黒尾さんに雑誌を、影山にレトルトカレーの新作を頼まれたから、忘れないようにしないと。

「後は卵を買うだけかな」

 黒尾さんと影山の頼まれ物を先に買った為、時間がかかった。
 こんなことなら、山口を連れて来るべきだったかもなぁ。
 なんて思った刹那。

「そこの君どいてくれぇぇぇ!!」

 馬車が猛スピードで僕の方に向かって来ていた。
 僕は、あまりに急なことで、体が動かなかった。

「危ない!!」

 ——誰かが飛び出してくれたおかげで、馬車に轢かれずにすんだ。

「君、怪我はしていない?」
「……はい。僕は大丈夫です、貴方は怪我はしていませんか?」
「俺は大丈夫」
「も、申し訳ございませんでした……お二人共、お怪我はありませんか?」

 馬車をひいていた人が馬車から降り、僕達に謝りに来た。
 馬車を停めても、馬は少し暴れていた。

「怪我はありませんが、こんな街中を猛スピードで走るのはいかがなことかと。一歩遅ければ、彼は轢かれていましたよ」
「本当に申し訳ありません。普段は、こんな走りをする馬ではないんですが……」

 馬車をひいていた人の言葉を聞き、馬を見てみると、蹄から少し出血していた。
「……あの、多分ですけど、蹄が割れて痛がってるんだと思います」
「え?」
「そこまで酷くはないようですが、きちんとケアすることをオススメしますよ」
「わ、分かりました。本当に申し訳ありませんでした……」
 馬車をひいていた人は、馬をきちんと診てもらう為に動物病院へ行くらしい。

「危ないとこを助けて頂き、ありがとうございました」
「怪我がなくて良かった。でも、蹄が割れていることに良く気がついたね」
 男の人はフワリと笑う。
「……馬の鳴き声が、少し痛がっているように聞こえたんです。なんとなくですけど」
「……そっか、君は優しいんだね。俺の名前は赤葦京治、君の名前は?」
「月島蛍です。お礼をしたいんですが、買い物が残ってて……」
「あぁ、気にしなくていいよ。それじゃあ、失礼するね」
「本当にありがとうございました」

 これ以上帰りが遅くなると3人がうるさくなるだろう。
 僕は急いで卵売り場に向かった。



「京治様、お探ししましたよ。馬車の準備が出来ております」
「ありがとうございます」

 僕は馬車に乗り込んだ。
 城が退屈で城下町に来たけれど、それは正解だったな。

「何か良いことでもありましたか?」
「興味深い人と出会ったんです」
「興味深い人ですか?」
「はい。近いうちにまた会えると思うんですがね」

 俺は今まで物欲なんてものは無しに近かった。
 パーティーなんて退屈で面倒なだけかと思ってたけど、今度は楽しめそうだなぁ、なんて。