BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 【ハイキュー!!】頂の景色を夢見て【BL短編集!】 ( No.36 )
日時: 2015/06/13 20:49
名前: レム* (ID: sSv6cHIH)
プロフ: 意味不明((

『好きと大好きのその先に。』




 好きだから、構ってほしい。


 好きだから、悪戯したい。


 好きだから……


 抱き締めたい。


 この気持ちは……一体……?



 烏野が遠征に来るようになって、数回……
 俺は、恋をした。

「黒尾さん、どうしました?」

 この、高身長で眼鏡を掛けた青年——月島蛍に。
 こいつの蜂蜜色の瞳に、吸い込まれそうになる。

「いや、どうもしてねぇよ?」

 はてさて、どうして男なのか……
 俺は前まで、普通に女の子が好きだったはずだ。
 もちろん、女の子と付き合ったこともある。

 なのに、だ。
 どうしてしまったんだ……

「黒尾さん、気分悪いんですか? さっきから、ボーっとしてますよ」
「気のせいだーって。なぁに? そんなに俺に構ってほしいの? ツッキー」
 自分でも分かるぐらいニヤニヤしてると思う。
 ツッキーは、ふぅんと笑い、眼鏡を押し上げる。

「それ、逆なんじゃないですか?」

「…………は?」

 面白いぐらいに、心臓が飛び跳ねた。
 まさかそんな風に返って来るとは思ってなかったのだ。

 ふにゃりと、見たことのない柔らかい笑みを浮かべるツッキーを見る。
 いつもなら、否定されて無理矢理構うっていうのがオチというかなんというか。
 でもなぜか、今日は違ったみたいだ。

「貴方が、僕に構ってほしいんデショ?」

 ……まぁ、正直に言えばそうなる。
 構ってほしいから悪戯するし、構ってほしいから、休憩の度にツッキーの近くに来る。

 好きだから、構ってほしい。

「……構われたくないか?」
 こんな事聞いて、否定されたらどうするんだと自分に突っ込む。
 落ち込んでしまうのが目に見える。

「僕は、黒尾さんのそういう所好きですよ?」

 また、面白いぐらい心臓が飛び跳ねた。
 ツッキーが告白をして来たのだ。

「構ってほしいって態度は、僕だけじゃないですか。特別って事ですよね? 嬉しいですよ」

 俺はいつの間にかツッキーを、抱きしめていた。
 身長は変わらないのに、体格は全然違う。とても細い。
 そんな所も、可愛く思える。

「蛍。俺も好きだ、大好きだ」

「っ!? ……名前、やめて下さい……」

 蛍は照れながらも、抱き締め返してくれた。
 好きだから甘える。
 好きだから笑う。

 好きでいられるから全てが楽しいんじゃないと思う。
 悲しいこととか、苦しいこととか全部混ぜて、それを乗り越えた先の幸せなんだろう。
 きっと、好きだから苦しいことだって、悲しいことだってある。
 でも、それも全部引っくるめて、俺は蛍が大好きなんだ。