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『報われない片オモイ。』



　及川はモテる。

　毎日何人もの女子から告白されている。
　まぁ、その度に断っているらしいのだが。

『好きな人がいるから』

　そう言って、彼奴はいつも断るそうだ。
　そうを聞いた時、ココロの何どこかがズキッと痛んだ気がした。

　なぜだかわからない。

　今までずっと一緒で及川の事を見てきたのに、気付けなかったからなのか。
　それとも……

　それ以上考える事を止めた。
　止めなければならなかった。

　これ以上自覚をしてしまえば、抑えられなくなってしまう。
　心の中で俺は踏み込んではならないと警告されているようだ。

　大丈夫、踏み込まない、大丈夫だ。
　すっと、息を吐く。
　自分に言い聞かせて、これからも過ごしていく。

　ただ……
　もし俺が女だったのなら。


　お前の、ずっと隣に居れたのだろうか。


　変えられない現実に俺は、耐えることしか出来ず、俺は今日も及川を想いながら、枕を濡らした。

◇

　俺は、岩ちゃんが好きだ。
　多分、岩ちゃんも俺の事が……

　だけど岩ちゃんは、自分の気持ちに鍵をかけて今まで通りに話しかけて来て、笑ってて……
　たまに、ふと視線を岩ちゃんに向けるととても悲しそうな……

　どうしてそんなにも無理をしてるの？
　俺は岩ちゃんが大好きなんだよ？

　たくさんの女の子に告白されるけど、好きな人がいるからって断ってる。
　岩ちゃんは勘違いしてるみたいだけど、その好きな人は、岩ちゃんなんだよ？
　ずっと一緒に居て、隣で笑ってくれる岩ちゃんが、大好きなんだよ。

　そろそろ気づきてくれてもいいんじゃないかな。

　俺から岩ちゃんに告白をすれば……
　そうすれば、岩ちゃんはずっと笑ってくれるのかな。

　悲しそうな顔にならない?

　岩ちゃん、俺は岩ちゃんにずっと笑っていて欲しいからさ。
　もうちょっとだけ、待っててね。