BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 【ハイキュー!!】頂の景色を夢見て【BL短編集!】 ( No.8 )
- 日時: 2015/06/13 15:19
- 名前: レム* (ID: sSv6cHIH)
『両片オモイ。』
——突然だが、俺は月島が好きだ。
いつも馬鹿にされるし上から目線だし(実際背は俺より高いけど)ムカつくし……
でもなぜか、いつの間にか好きになっていた。
男同士だし、言えばきっと気味悪がられる。
だから俺は、今の関係を保とうと必死だった。
放課後、同級生の女子に告白された。
本気で好きだという様子だったが、それでも俺は断った。
好きな人がいるから、と。
その後の練習は、あまり集中できなかった。
ふと、蜂蜜色の髪が目に映る。
「王様何ジロジロ見てんの。気持ち悪い」
気付いたら目線は月島にいっていたようで、体に熱がこもったのがわかった。
「う、うるせぇ!! ぼーっとしてただけだ」
もちろんと言うべきか、山口に嫉妬している時だって、数えきれないほどある。
自分が山口だったらと、どれだけ思ったことか。
「ホント王様大丈夫? さっきからボール外しまくりだけど?」
本当に心配だ、というように目を細め、顔をしかめる。
「うっせ。今日は調子悪ぃんだよ」
「あっそ。精々頑張ってよね」
ちなみにもう時間だけど、と一言付けたし、帰っていった。
ある日、俺は思いきって月島を俺の家に来ないかと誘った。
全力で拒否されると思ってたのだが、案外簡単にOKを貰えた。
「月島、行くぞ」
「分かってるから。山口、僕ちょっと王様の家に行くから、今日一人で帰って」
「オッケーツッキー! じゃ、また明日ね!」
月島は山口に別れを告げ、俺のあとにヘッドフォンをつけながら着いて来た。
数分歩くと、俺の家が見えてくる。
小さくただいま、と言って、中に入るよう月島に促した。
部屋に入り、荷物を置く。
「飲み物持ってくっから、適当な場所座ってろ」
◇
僕は珍しく王様に誘われて、王様の家にいる。
なんか意外に片付いてる……
これじゃあいじるにいじれないなぁ、なんて。
「……ほら」
王様が飲み物を持って戻ってきた。
「王様って案外部屋綺麗なんだね。王様のことだからもっと散らかってるかと思ったよ。本気で」
なんて、率直な感想を並べていると、王様は何か怒った様に呟いた。
「…………んで……」
「は?」
聞き取れなくて、思わず聞き返した。
「……っなんで、俺ばっか……俺ばっか、苦しまねぇといけねんだよ」
王様がいきなり意味不明な事を言い出した。
というかもう、意味不明どころか気味悪いよね。
って、泣いてる……?
「ちょっと王様。なんで泣いて…………っ!?」
僕が言葉を言い終わる前に、いきなり押し倒された。
「……お前……やっぱ、俺の……事……嫌い……なの、か……?」
「は? ちょ、王様何言ってんの?」
やめてよ。
それじゃあ僕が。
僕が王様を思う気持ちを——
「いつもいつも……悪口言っては嘲笑って……そんなに……そんなにっ!! 俺の事……嫌い、なのかよ……!!」
——違う。
違う……
王様が嫌いなんて、そんなこと……
「……好きな気持ちは裏返しって、よく言うでしょ」
「——え?」
意味がわからない。
そう言いたげに、王様の目は僕を捉えた。
「嫌いなわけ、ないデショ!? 僕なんて、影山の事好きで好きで堪らなくて? 僕みたいな庶民なんかに……全然届かない相手だし。ていうかまず、影山モテるじゃん。しかも僕達男同士だから、いつも……いつも……!! 悪口言って嘲笑って、気持ち誤魔化して!? 影山なんかより僕が……一番大変なんだけど……鈍感もいい加減にしてよね!!」
◇
「っ!?」
——月島が、俺を好き?
あの、月島が。
手が届くわけないと思っていた、あの月島が。
「……ホントに、俺が好きなのか?」
信じられなかった。
「馬鹿。同じ事、二度も言わないし……!!」
耳まで赤く染めて、口元を手で隠す。
……可愛い……
あの月島を、俺が——
考えるだけで、胸が高鳴った。
「月島……大好きだ。その…………愛してる」
その言葉は永遠だと、君に誓う。