BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: アニメ小説まとめ【BL】 ( No.12 )
日時: 2015/07/23 14:02
名前: 透理 ◆AqeJ5zOxmI (ID: /GGwJ7ib)

【No.4-1】ルートヴィッヒ(独)×フェリシアーノ(伊)【ヘタリア】
  ——〈甘い甘い〉


 ——「待ってたんだよ、神聖ローマ。甘い甘い、お菓子を作って」
イタリアが熱を出した。
オレは弱ったイタリアが泣きつくものだから、傍のソファーに座って一泊していた。
ベッドの傍の大窓から入る風に、赤みを帯びた茶の髪を揺らして呟いていたイタリアの背中はどこか儚くて、抱きしめていないと消えてしまいそうで。

「イタリア、もう眠れ」
横からイタリアをぎゅっと抱きしめて、ゆっくりとベッドに倒す。
大人しくされるがまま倒れこんだイタリアはずっと外の闇にぼやける月を眺めていた。

“呼吸と同じリズムでポンポンすると、落ち着くらしいぞ”
昔兄さんがそう言っていたことを思い出し、イタリアの腹をゆっくり、痛めつけないように、壊さないように優しく叩く。

すう、と寝息を立て始めたイタリアにおやすみ、また来るからと呟いて柔らかな髪を撫で、部屋を後にした。




  *



 「ただいま」
静かな家の明かりをつけ奥の部屋に進むと、兄さんはだらしなく腹を出して寝ていた。
風邪ひくぞ、とポツリ呟いて掛け布団を肩まであげるとんん、と唸って寝返りをうつ。
何とも幸せそうな顔をしていた。

枕もとにあるデジタル時計はもう既に五時を示していて、外はぼんやりと白い光が街を照らしている。
この時間ならオーストリアは起きているだろうとリビングに向かい、受話器を取る。

「ああ、オーストリアか? 朝早くに申し訳ない。」
電話の向こうから寝起きとは思えない声でいえ、と返される。
「今日は休暇を貰いたいんだが……」と話すと、察したように良いですよ、と微笑みの声。

「それと……イタリアが悲しそうに呟いていたんだ。神聖ローマと」
返事が来ない。重い重い僅かな沈黙。
「……それは、私が話すことでしょうか」
「……いいや、すまない、変なことを聞いた」

受話器を置いて、一つため息を吐く。
知らないほうがいい。そう遠回しに言われている気がした。

「ああ、イタリアのところに戻らないとな」
そう呟いて、椅子にかかっているコートを手に取った。






〔続く〕