BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: アニメ小説まとめ【BL】 ( No.13 )
- 日時: 2015/07/24 00:27
- 名前: 透理 ◆AqeJ5zOxmI (ID: /GGwJ7ib)
【No.4-2】ルートヴィッヒ(独)×フェリシアーノ(伊)【ヘタリア】
——〈甘い甘い〉続き
*
「解熱剤と、あとは……」
イタリアの家へ向かう途中。コンビニで辺りを見回す。
正直オレも兄さんも風邪、ましてや高熱を出すこともあまりないから、こういう時どうすればいいのか戸惑っていた。
日本に連絡し尋ねると、
『そうですね……兎に角喉を通りやすい食べ物を食べて、自然に治すのが良いかと思いますが』
と返ってきた。
そして、『弱ると寂しさや甘えが出やすくなりますから、めいっぱい甘やかしてあげてくださいね』とも。
普段からかなり甘やかしてはいると思うのだが……。
あれ以上甘えられても対処に困るな、と思いつつレジに並んだ。
「ありがとうございましたー!」
店員の威勢のいい声を背中に受けながら自動ドアを抜ける。
もうすっかり太陽は上がっていて、人々や車が行き交いしていた。
「眩しいな」
かさりとビニール袋を握りしめて空を仰ぐ。
街中を白い光で包み込む太陽と、絵の具をこぼしたように青い空。
ああ、早くイタリアの元に戻って空の様子でも伝えて——。
「ヴェェェェェ!」
聴きなれた声にまさか、と左右を見回す。
案の定、とても華奢なシルエットが遠くに逆光で霞んで見える。
何でだ、と疑問を浮かべながらも必死に走ってくる“そいつ”にこちらからも駆け寄った。
「イタリア! 家で大人しくとメモを残しておいただろう!?」
激しく肩を上下させ荒呼吸をして俯きながら、ぎゅっと服を握られる。
思わず肩を掴んでぐっと離すと、顔をあげたイタリアは目を真ん丸にしてポロポロと涙を流していた。
「ひ、どいつぅ、寂し、かったぁ! っ、うぅ、ドイツが怒ったぁ……」
いよいよ大声でしゃくりあげながら嗚咽するイタリアにぎょっとして、あたふためく。街行く人の冷たい視線もあってか、どうにかせねばと焦りが大きくなる。
そして夜のことを思い出し、抱き寄せて背中を優しく叩いた。
“呼吸に合わせてゆっくりと”
すると徐々に泣く声が落ち着いて来て、時折ピクリと震える程度になりやっとイタリアが笑う。
「ふへへ、これ落ち着くー……」
背中に回されたイタリアの手の力が強まり、そっと尋ねた。
「さあ、家に戻るぞ」
「うん!」
*
「体の方はどうだ?」
ベッドで毛布の端を握りながら此方を見るイタリアに尋ねながらベッドに座り、額に触れる。
「うん、もう大丈夫だよ」
にへら、と締まりのない笑顔をするイタリアに、思わず微笑む。
「そうか、良かったな」
ありがとう、とイタリアは目を細め、閉じた口の口角をあげた。
「ドイツ、机の上のお菓子食べてよ。いっぱい作ったんだ」
お菓子——。イタリアが悲しそうに呟いていた“神聖ローマ”を思い出し、胸がズキ、と刺されるような感覚としめつけられる感覚。
「それは、オレの為のものじゃないだろう」
気づいた時には口を滑らせてしまっていた。
イタリアはぽかんと不思議そうに口を開けっ放しにした後微笑んで言った。
「違うよ。ドイツの為に、甘いお菓子をいつも作っているんだ」
先ほどとは違う胸の締め付けを感じ、ふは、と笑う。
「恥ずかしいやつだな」
「えへへー」
今この瞬間は、二人だけで良い。
過去にイタリアが想う人がいようと、今はオレたちだけの空間だ。
いずれその存在が明らかになろうと、イタリアが未だに“その名”を呼んで泣いてしまっても今、イタリアが甘い甘いお菓子を作って待ってくれているのは、オレなのだから——。
【No.4-2】ルートヴィッヒ(独)×フェリシアーノ(伊)【完】
——〈甘い甘い〉
ハッピーエンド