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Re: アニメ小説まとめ【BL】*リク受付中! ( No.17 )
日時: 2015/07/25 21:35
名前: 透理 ◆AqeJ5zOxmI (ID: /GGwJ7ib)

【No.6-1】高野×小野寺【世界一初恋】
  ーー〈酔は本音の涙〉(※某サイトでUPしたもののリメイク版です)



 「…………っ」
口に付けていた缶を乱暴に置く。
中で麦酒の揺れる動きが、缶を握る右手に伝わった。
足元にも机の上にも、数えるのに骨が折れそうな程の空き缶が無造作に転がっている。

俺は今だけじゃなく、この数日間何かと苛ついていた。
それもこれも、全部高野さんがいるせいでーー。
いや、これはただの八つ当たりだ、とまた自己嫌悪に陥りくしゃりと前髪を握った。

思い出したら胸がざわつき、俺はまた麦酒を喉に流し込む。
喉を勢い良く流れる音が脳にまで届く。

缶から麦酒が流れなくなると、ぷはぁ、と大きく息を吸って左の掌で口を拭う。
そして手をフローリングについた。ーー筈だった。

「……うわあっ!?」
心臓が跳ねる感覚のあと、全身に痺れを感じる。
誤って転がっていた麦酒缶に手を着いてしまい、ツルンと滑ったようだ。
滑るだけならまだしも、フローリングに頭を打った。

視界にはゆっくりと転がっていく大量の缶と薄茶色……否、クリーム色に近いフローリングが映っていた。 フローリングの色がぼやけてハッキリしないのは、頭を打ったせいだろうか。
何もない、ただシンプルな背景に飲んだ麦酒の量を見て、胸がギュッと締められる。
何やってんだろう俺ーー。
目元が熱をもったのに気付き、泣くまいと強く瞼を閉じた。

 ピンポーン、というよく通るインターフォンの音に体が跳ね、慌てて瞼をあげる。
もうレースカーテンから光は入ってこない。
暗い闇に街明かりが灯っているだけだった。
規則正しく時を刻む時計を見上げて小さく呟いた。
「…………誰?」
時針は9を過ぎた辺りに向いている。
つまり、所謂“こんな時間”だった。

 「さっさと開けろ小野寺!」
少し苛ついた怠そうな声。
それを俺が間違うわけがない。ーー高野さんだ。
胸の鼓動が少し速度を増す。
「いっ、今開けます!」
今度は缶のないところに手を着いて急いで立ち上がると、玄関へ素足でぺたぺたと小走りをした。


〔続く〕