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Re: アニメ小説まとめ【BL】*リク受付中! ( No.18 )
日時: 2015/07/26 01:47
名前: 透理 ◆AqeJ5zOxmI (ID: /GGwJ7ib)

【No.6-2】高野×小野寺【世界一初恋】
  ーー〈酔は本音の涙〉(※某サイトでUPしたもののリメイク版です)


  *

 「高野さん……?」
恐る恐る、片目で見えるくらいの小さな隙間を作る。
長い髪の隙間から少し目線を上に向けると、鋭い眼つきで相変わらず濃いくまを引いた高野さんが俺を見つめていた。

目があった途端、高野さんの手がドアの隙間にねじ込まれ、一気に大きく開けられる。
あ、と間抜けな声を出し、ドアノブを離した手に痺れを感じていた。

「顔赤いぞオマエ」
呆然とただ伸ばしていた手を下ろし、目線を斜め下に落とす。
「あ、そ、ですか、ね?」
ずきずきと痛みにも似た胸の高鳴りに上手く言葉が出ず、はは、と苦笑いをして横上を弄る。
何も言わずズカズカと玄関に入ってきた高野さんの肩に鼻先が少し触れる。
高野さんの匂いだ……なんて少し心が安らいだのは絶対に内緒だ。

「ちょ、っと……何勝手に…………ぶっ!?」
すたすたと廊下を歩く高野さんが急に止まったのに気付かず、思いっきりぶつかる。
一体何なんですか、と言おうとした俺を言葉を遮って、高野さんは驚きの声をあげた。
「これ全部……今飲んでたのか?」
その言葉にはっとした。やばい、麦酒……と。

「ちょっと苛々してたんですよ、関係無いでしょう。それに昨日一昨日の分もありますし」
ふん、と鼻を鳴らし顔を反らすと、目の前に黒いロングTシャツの腕が伸びる。
壁に背中を付く形になった俺は高野さんの温もり、香りに包まれた。
大きな手が、ごつごつした指が、ゆっくりと俺の髪に触れる。

「なるほど。缶に滑ってあんな大きな声を出したってところか」 
図星過ぎてギクリとし、目線を高野さんと合してしまう。
「……聞こえてたんですか」 
「ああ。あんなデケェ声出せる方がおかしい」
恥ずかしさで心拍が速まる。体中に回る熱。心臓の音、高野さんに聞こえてしまいそうだ。

少し薄着をしている高野さんの胸を押す。
「どいてください」
どれだけ力を入れても高野さんはピクリとも動かない。
黒い布の奥から、高野さんの熱を感じる。
それに伴い、俺も酔のせいではなく、恥ずかしさで頬の熱があがっていく。

「__怪我は」
押し離していた筈なのに、遂には肩に高野さんの額が触れていた。
緊張しているのがバレてしまいそうで、更に全身の熱は上がっていった。熱くてあつくて、火照りに力が抜けていく。
「頭打ったんですけど……痛くはないです」
そう答えると高野さんは大きな溜息をついて言った。

「ふざけんな、心配しただろ」

うなだれるような弱々しい声に、ただ呆然と「すみません」と謝ることしかできなかった。



〔続く〕