BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: アニメ小説まとめ【BL】 ( No.9 )
- 日時: 2015/07/22 16:12
- 名前: 透理 ◆AqeJ5zOxmI (ID: /GGwJ7ib)
【No.3】荒北×東堂【弱虫ペダル】
——〈専業主夫☆尽八くん〉*社会人同棲パロ
「あらきたぁぁっ」
意識が遠い寝起きの頭に、ガンガンと聞きなれた声が響く。
どさりと腹の上に重みを感じ、意識が一気に引き寄せられた。
「ッセ! どけ、重いンだヨ」
腹に跨ってオレの顔を覗く東堂の横腹をぐいっと押すと、東堂はう、と一つ呻いてベッドから足を下ろす。
「その言い方はないだろう。朝だぞ、起きろ」
水色のカチューシャにおさまりきっていない長い前髪を揺らして可愛く怒るもンだから、ちょっと意地悪がしたくなった。
「起きたくネェ。キス、しろヨ」
んん、と両手を空中にめいっぱい広げる。東堂ははぁ、と荒々しい口調でキレつつ頬を紅潮させ、パクパクと何か言いたげに唇を動かしている。
それから軽く下唇を噛んで黙りこくっていたけど、早く、と催促すると大きく息を吸って、
「ふん、この『眠れる森の美形』に目覚めのちゅーをしてもらえるんだぞ。有り難く思え」と言ってオレの両目に手を置いた。
ベッドが少し沈んで、ギィ、と軋む。
唇に柔らかい感触を受け、広げていた両手で東堂の体を包み込む。
触れた背中は細く、それでいて固く、じわりと熱を伝えてくる。
「ハッ、この手のせいで、おめェの顔見れなかったジャン」
目に覆いかぶさった白い手を掴み横にずらすと、東堂は目線を逸らして『もういいから早く起きろ』と少し強く言った。
ハイヨ、と一つ返事して体を起こすと、鼻にすう、と玉子の香り。
「飯はもう出来ているんだ」
「良い香りだナ」
*
「どうだ? 味は大丈夫だろうか」
いつもは自信あり気なナルシストのくせに、こういうときだけ自信なさげに訪ねてくる。
「旨いヨ」と答えるとぱあ、と明るい顔で「そうか、そうだろう」と笑う。
その笑顔は花が飛ぶ、というよりかは羊が飛んでそうな。
可愛いに越したことはないンだけどネ。
「あ、ヤベ。仕事遅れる」
ちらりと時計を見て慌てて、パンを口に放り込んで廊下を小走りする。
後ろをついてきた東堂が鞄を差し出してくれる。
「おまえはいつも忙しそうだな」
「おめーも実家の旅館で働いたら? 忙しくなるヨ」
東堂が目を細め、口角をあげて笑う。
「やだ。オレは荒北の専業主夫だからな」
「それはそれは、ありがてぇナァ」
東堂の滑らかな髪の毛に指を絡めながら、軽く唇を触れ合わせた。
「行ってきまぁす」
【No.3】荒北×東堂【完】
——〈専業主夫☆尽八くん〉
ハッピーエンド