BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- ユリ ( No.2 )
- 日時: 2016/06/16 18:23
- 名前: 桜庭 優 (ID: Qos362AQ)
「おはよう、紳ちゃん」
「おはよう、乃愛」
乃愛は、食パンの最後の一切れを口の中に詰め込んでから紳ちゃんの方を向いた。
紳ちゃんは、呆れたようにこちらを見ていて一回小さくため息を吐いた。
「お前な……年頃の女の子なんだから行儀が悪い事をするなよ」
「もう紳ちゃんは、硬いんだから、少し位良いじゃない」
乃愛は、紳ちゃんの腕に絡みつき、甘えるように上目使いで紳ちゃんを見つめました。
「はぁ……乃愛に何を言っても無駄だな……」
紳ちゃんは、苦笑交じりにため息をつくと、そっと乃愛の右手を左手で包み込んでくれました。
「ほら、早く行かないと学校に遅刻するよ」
「うん、早く行こう、紳ちゃん」
乃愛は、紳ちゃんの手を握り返すと歩き出しました。
しばらく歩くと茶髪のセミロングで低い位置にツインテールをしている女の子が見えてきました。
「おはよう〜〜〜〜さくらちゃん」
乃愛は、左手を振りながらさくらちゃんに近づきました。
さくらちゃんが乃愛に気が付き乃愛の方を向きました。
「おはようございます、乃愛ちゃん、紳ちゃん」
さくらちゃんも右手を軽く振りながら乃愛に近づいてきました。
「おはよう、桜」
紳ちゃんは、さくらちゃんににこやかに挨拶をしました。
さくらちゃんは、乃愛と紳ちゃんがつないでる手を見て、ふふふっと楽しそうに口元に手を当てて微笑みました。
「紳ちゃんと乃愛ちゃんは、本当に仲良しなのね」
「うん、乃愛と紳ちゃんは、仲良しなんだよ」
乃愛は、嬉しそうに微笑みながら答えると紳ちゃんと手を握ってない左手でさくらちゃんの右手を握り締めてにっこりと微笑みました。
「でも乃愛は、さくらちゃんの事も好きだよ」
紳ちゃんとさくらちゃんは、乃愛の言葉を聞いて互いに見つめあうと互いに声をこらして笑い出しました。
「乃愛ちゃんには、敵わないですね」
「本当だな……でも乃愛らしくて良いと思うよ」
「もう紳ちゃんもさくらちゃんもそんなに笑う事は、ないじゃない!」
乃愛は、頬を膨らせながら紳ちゃんとさくらちゃんを少し睨みました。
「ごめんなさい、乃愛ちゃん。
でも乃愛ちゃんを馬鹿にしたのではないんです。
乃愛ちゃんの全てが愛おしいって紳ちゃんと思っていただけです」
さくらちゃんは、後ろで腕を組むとやんわりと微笑みながら乃愛を見つめるとちらって紳ちゃんを見ました。
「まあ……否定は、しないけれどね」
さくらちゃんの視線と紳ちゃんの目が合うと紳ちゃんは、少しだけ気まずそうに軽く自分の後ろ髪を触りなが苦笑いを浮かべました。
「うぅ……なんだかさくらちゃん達に丸め込まれた感じがするよ……」
乃愛は、不満そうにさくらちゃん達を見つめました。
「私達は、単純に乃愛ちゃんの事が好きってだけですから乃愛ちゃんは、私達の好意を素直に受け取っていいと思います」
さくらちゃんは、優しく微笑みながら乃愛の頭を撫でました。
「んっ……そうだよね……ありがとう、さくらちゃん」
さくらちゃんに、頭を撫でられて気持ち良さそうにしながらさくらちゃんが乃愛の撫でた手を軽く触りながら照れくさそうに微笑みました。
「早く学校に行こうよ、紳ちゃん、さくらちゃん」
乃愛は、紳ちゃんとさくらちゃんに向かって両手を差し出しました。
紳ちゃんとさくらちゃんは互いに見つめあうと少し笑いながら紳ちゃんとさくらちゃんは、乃愛の手を握りしめました。
乃愛達は、三人で手を握り締めながら学校へ向かいました。
学校の校門に入るとある出来事が起きました。
「あ、あの、紳先輩!」
声をした方を向くと黒髪のおかっぱで乃愛よりも背の低い女の子が手紙を持って立っていました。
「これは私の気持ちです、受け取ってください!」
女の子は、紳ちゃんに手紙を差し出すと紳ちゃんは受け取りました。
「ありがとう。
気持ちは、嬉しいよ……」
紳ちゃんは爽やかに微笑むと女の子は、顔を真っ赤にして舞い上がりながら声を裏返しにして答えました。
「は、はい!
それでは、失礼します」
女の子は、ふかぶかと頭をさげると走って去って行きました。
今の女の子は、女の子らしくて可愛らしい女の子だったな……。
紳ちゃんは、あんな女の子が好みなのかな……。
乃愛は、そう考えると胸が苦しくなりました。
乃愛は、苦しそうに自分の両手を握りしめながら横を向きました。
横を向いたらさくらちゃんも辛そうに紳ちゃんを見つめていました。
さくらちゃんは、乃愛の視線に気が付きそれを誤魔化すように乃愛に向かって優しく微笑みました。
乃愛は、さくらちゃんの微笑みを見ても心ももやもやが治まらずに辛そうに俯きました。
「どうしたんだ、乃愛?」
紳ちゃんは、乃愛の異変に気が付き乃愛の顔を覗きこんできました。
「ッ!?何でもないわよ!
紳ちゃんは、可愛らしい女の子から貰ったラブレターでにやけてれば良いでしょう!
紳ちゃんの事なんかほっておいて先に行こう、さくらちゃん」
乃愛は、さくらちゃんの手を握り締めると学校に歩き出しました。
「待てよ。
乃愛は、何を怒ってるんだよ」
紳ちゃんは、何もわかっては無いような不思議な顔をしながら乃愛に近づいてきました。
「ふん、あっかんべ〜〜〜〜〜!」
乃愛は、一回紳ちゃんの方を向くと両眼を瞑ってベロを出してあっかんべ〜〜〜をするとさくらちゃんの手を握り締めたままさくらちゃんと学校の下駄箱に走って向かいました。
乃愛とさくらちゃんが上履きに履き替えていると紳ちゃんが後から現れました。
「乃愛は、何を怒ってるんだよ……」
「……別に怒ってないわよ」
「は〜〜……」
紳ちゃんは、深くため息を吐くと下駄箱を開けると下駄箱から大量のラブレターが落ちてきました。
それを見た乃愛は、心を落ち着かなくて横を向くとさくらちゃんは、一瞬辛そうとも見える表情で紳ちゃんを見つめていて乃愛の視線に気が付きいつものにこにこ笑顔に戻りました。
紳ちゃんは、少しため息を吐くとラブレターを拾い始めました。
「紳ちゃんは、相変わらずモテるのね」
さくらちゃんは、からかうみたいに悪戯っぽく微笑みながら落ちたラブレターを紳ちゃんと一緒に拾い始めました。
さくらちゃんは、ラブレターを全て拾い終わるとラブレターを紳ちゃんに渡しました。
「そう言えば紳ちゃんは、何でいつも告白を断ってるの?
紳ちゃんは、誰か好きな人がいるの?」
さくらちゃんは、不思議そうに首をかしげました。
紳ちゃんは、自分の髪を少しだけ触りました。
「そんな子は、いないよ。
それに今は、うちのじゃじゃ馬なお姫様の面倒をみるので精一杯だしね」
紳ちゃんは、乃愛の方をちらって見ました。
「もう紳ちゃんたら酷いな、そんな事を言わなくてもいいじゃない!」
乃愛は、ぽかぽかと紳ちゃんの胸を強く何回も叩きました。
紳ちゃんは、乃愛をなだめるように軽く乃愛の肩を触りました。
「ちょっと痛いって、あんまり叩くなよ、乃愛」
「あ〜〜もううるさい、うるさい、うるさい、うるさい!」
乃愛は、紳ちゃんの頭を強く何回も叩きました。
紳ちゃんは、少しだけため息を吐くと乃愛を軽く抱きしめました。
「私が悪かったから機嫌を直せよ、乃愛」
「ふん……紳ちゃんなんか知らない……」
乃愛は、不機嫌そうに横を向きました。
紳ちゃんは、乃愛を抱きしめたまま乃愛のおでこにキスをしました。